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緒形拳展覧会余録 資料群をどうするか?

展覧会が終わってもそれですべてが終わりではないことは、改めて言うまでもありません。アーカイブの世界では、一連の資料全体を「資料群」と呼びます。アーカイブにはコンピューター用語で圧縮するという意味もあって、これが一つは混乱の原因でもあります。最近はよく○○アーカイブ、もしくは○○アーカイブズという言葉が使われますが、ちょっと違うんじゃないかなと思うことも多々です。

例えばNHKアーカイブがありますが、あれはNHKライーブラリーと言ってもいいかも知れないです。脚本アーカイブも然りです。結局、特定の目的で特定の「モノ」を集めるのはミュージアム(博物館・美術館)の仕事で、特に書籍や定期刊行物を集めるのはライブラリー(図書館)の仕事です。アーカイブと名乗るならば、公文書であればその部署に関係する資料群で、将来の研究や何等かの検証のために必要なものを総掛かりで残してほしいものです。まあ~都合が悪いものは破棄するのが当たり前だと思っているこの国の政治家や官僚では望むべくもありませんが。

そして私文書、私蔵のものであればピックアップするのではなく、その人なりその家なりの全体像、全体構造がわかるように残していくべきなのです。ただ、そうすると保管するための場所が必要になりますし、整理にも時間がかかります。それは当然、お金がかかるということです。

現在、緒形さんの資料については、舞台・映画・テレビに分けて、台本、パンフレット、写真、スクラップブックを「形」として整理しただけです。

こちらは台本整理の一例です。ダブルフラップフォルダーというTRCC東京修復保存センターが販売しているファオルダーに入れて、市販のファイルに整理しています。

こちらは新国劇のパンフレットです。1960(昭和35)年3月で「緒形拳」のサインが見られますね。このサインはずいぶんと若々しいです。これもダブルフラップフォルダーに入れて、台本とは違うファイルに収めています。

こちらは写真の整理です。写真はとにかくサイズがさまざまで整理がたいへんです。大きさごとにフォルダーを購入しては整理しているのですが、A4のファイルは入りきらないものもあります。その際にはB4のファイルを別に購入したり、いろいろと工夫が必要です。写真は特に内容を把握することも難しいですね。舞台であれば年月日、演目、会場等々、映画であれば、公開年月日、タイトル等々、テレビは放送年月日、テレビ局等々です。

これらはまだ背ラベルまで貼って、一応の形を整えていますからまだいい方です。資料整理にとっても最も大事なのは「目録化」=リスト作りだと私は思っているのですが、それはまだ遅々として進んでいません。目録作成は当然、PCに入力していきますから、データベース化やその公開も視野に入れたいところです。

いずれにしてもお金がない(^^;)2017年から始まった東海大学文明研究所のプロジェクト「戦後大衆文化の基礎的研究-緒形拳氏関係資料整理を中心に-」も3年計画で、展覧会のために今年1年特例で継続させてもらっただけです。といってもたくさんの人を入れて作業ができるほどのお金は出ていません。

クラウドファンディングでは、手数料を引いても200万円ほど集まりましたが、これもすべて展覧会のために使ってしまいました。

また研究助成金の申請はしてみようと思いますが、これまでの実績では…(>_<)あー誰か、研究費を…!!!

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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