深刻化する大学の2018年問題…

深刻化する大学の2018年問題…

2018年問題というのは、本年を境に、少子化が進むことによって、多くの大学が経営の危機に陥るという問題です。詳しくは、第1の記事を読んでいただきたいのですが、これからは本格的な大学の統廃合、もっとはっきり言えば淘汰の時代が始まります。大学の年史編纂にかかわっていると、とくに1990年代に大きな変化があったことが分かります。第1に記事にも書かれていますが、1988年には、490校だった国公私立大学が現在は約780校と大幅に増えたことが書かれています。大学余りの現象が背景にあって、とくに地方の方が少子高齢化が進んでいますからたいへんです。

でも、これなぜ増えたかというと、1991年に当時の文部省が大学設置基準の大綱化というのを打ち出して、大学の学部や学科の名称の「自由化」をはじめとして、大学を増やしていく政策をとったのですね。すでに1980年代には将来の少子化は推定されていたにもかかわらず、大学進学率の上昇と大学間競争による教育と研究の充実とか言って。詳しい事情はこれからさらに調べていかなければなりませんが、明らかな失政だと思いますよ。適正規模による適正経営なんて、今さら言っても遅いですから。はっきり言って、大学院教育政策も、国立大学の法人化も含めて、それからは失策続きだと思っています。そして大学は国にますます縛られていきます。それらが引き起こしている問題について、いくつかの記事をここにあげておりますので、ぜひご覧ください。ある種の「無駄」や「自由」や「試行」のないところに発展はありません。

 

2018年問題…大学曲がり角 少子化直撃、定員割れ4割/統廃合が加速 1/3(水) 7:55配信

少子化に伴う18歳人口の減少が続く中、今年は関係者の間で、大学進学者が減少に転じると予測される「大学の2018年問題」が注目の的だ。頭打ちの進学率、4割の大学での定員割れ、大学間の統廃合の加速…。大学は今後、生き残りをかけた“厳冬期”に突入するが、学生の質の確保もこれまで以上に求められる。大きな曲がり角を迎えた大学はどこへ向かうのか。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180103-00000024-san-soci

 

文部科学省は、経営悪化が著しい私大に対し、事業撤退を含めた早期の是正勧告をできるような制度改正の検討に入った。複数の関係筋によると、少子化に伴う学生の定員割れが深刻化し、4割の私立大学が赤字経営に転落。「大学倒産」で学生に影響が出かねないと判断したからだ。具体的には経営改善策を促す「イエローカード」の財務基準を定める方向だ。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6253787

 

人づくり革命の意味 苦しむ若者見捨て増えすぎた大学助ける

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170913-00000014-pseven-soci

 

北大が教授205人相当カットの大規模リストラ発表~ノーベル賞とか世界大学ランキングどころでない件

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20160923-00062472/

 

筆者はこれまで、日本各地の大学で起こっている「非常勤講師・職員の雇い止め」問題をレポートしてきた。今後、大学は職員の雇い止めをさらに進めていくことは想像に難くない。
今回は、なぜ大学が「雇い止め」を進めているのか、そして、その安直な方針が今後の大学運営にどのような影響を与えるかについて記したい。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52927

 

大学の質低下 文科省の責任も問われる

http://www.sankei.com/life/news/140218/lif1402180011-n1.html

 

2015年6月、東京工科大学の教員が研究室内で首つり自殺した。このことを『FACTA』9月号が報じた。私は、この事件は、我が国の大学が抱える構造的な問題を象徴していると考えている。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170915-00542777-fsight-soci

 

投稿者プロフィール

馬場 弘臣

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!

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