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【お知らせ】横浜市歴史博物館 「神奈川の記憶」展が始まりました!

23日から、横浜市歴史博物館「神奈川の記憶」展が始まりました。「神奈川の記憶」は、朝日新聞の神奈川版に、横浜支局の記者渡辺延志さんが連載されていた記事です。連載が一段落することになって、横浜市歴史博物館でその中から選りすぐりの記事を選んで、展示会をすることになったのでした。渡辺さんは、『神奈川の記憶』という同名の書籍を有隣新書から出版されています。新聞記者が自分の足で歩いて、取材して、実際に資料をみて書いた記事は、どれも興味深いものばかりです。「歴史の研究に資格はいらない。誰でも可能で、プロの歴史家の専有物ではないのだが、肝心なのは『私はこう思う』という主張ではなく、『なぜそう思うのか』という根拠を提示することだ」(119頁)や、「歴史とはそのままに存在するものではなく、必要に応じて見つけ出される存在である」(131頁)など、深く感銘を受ける言葉がならん出でいます。一話読み切りになっていますし、ぜひ一読をおすすめしたい本です。

横浜市歴史博物館の展示品については、最近、大磯の「澤田美喜記念館」が所蔵していたキリシタン関係資料のうち、「ご聖体の連祷と黙想の図」が16世紀末、安土桃山時代のものではないかということで、さまざまなメディアで紹介されました。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181119/k10011715581000.html

https://gunosy.com/articles/a4zE4

http://www.kanaloco.jp/article/373172

岩崎弥太郎の孫で、エリザベス・サンダース・ホームでも知られた澤田美喜さんのキリシタン収集品については、朝日新聞の「神奈川の記憶」でも紹介さてれていました。もちろん、書籍にも収録されています。そんなアナウンスもあって、昨日の初日には500名ほどの方がお越しになったそうです。関心が高いようですね。

渡辺さんについては、上記の記事に出てくる横浜市歴史博物館井上攻副館長の紹介で、小田原城の写真についてコメントを求められました。それが縁で、小田原藩士の記録「吉岡由緒書」のクラウドファンディングについて記事を書いていただきました。おかげさまでクラウドファンディングも達成することができました(^^)新書『神奈川の記録』でも、今回の「神奈川の記録」展でもご紹介いただいております。他にも重要な記事があっただろうにと思うと何だか申し訳ない次第です。

「神奈川の記憶」展では、「吉岡由緒書」から元治元年(1864)の禁門の変を取り上げてもらっています。この時期小田原藩は京都御所の守衛を命じられ、吉岡家の当主信徳が実際に警備のために出兵していますから、なかなかリアルな記述となっています。信徳が描いた御所警備の挿図もあります。誰が(どの藩が)どの門を守っていたかが詳細に描かれた図です。この図は、当時京都で刊行されていた御所の図を写したことがわかっています。この図に描かれた藩の警備は、従来の原口清先生の見解や三宅紹宣先生の図とはいくつかの点で異なっています。また、蛤御門をめぐる攻防は、薩摩藩・会津藩と長州藩をめぐる闘い、せいぜいこれに桑名藩が加わる程度として描かれることがほとんどですが、これも少し様相が違っているようです。キーを握るのはどうも彦根藩のようです。会場でご覧いただければと思います。

平成30年度の横浜市指定・登録 文化財展も同時開催です。ぜひ、ご来場ください(^^)/

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投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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