『芸術新潮』 緒形拳さんの展示会  横浜市歴史博物館

お知らせ
『芸術新潮』 緒形拳さんの展示会  横浜市歴史博物館

いよいよ明日から授業が再開します。冬休みのラスト飾りますのは、横浜市歴史博物館で開催予定の緒形拳さんの展示会のお知らせです。これまでも何度か書いていますが、新年を迎えて改めてお知らせしたいと思います。

この展示会については、昨年の12月25日に発売された『芸術新潮』2020年1月号、これは創刊70周年の記念特大号で、「東京のミュージアム100」が紹介されています。表紙は満島ひかりさんです。横浜市歴史博物館は東京の博物館ではありませんが、6ページに2020年度の展覧会の案内が掲載されています。

『芸術新潮』2020年1月号

その中で、ご覧のように企画展「俳優 緒形拳とその時代-戦後大衆文化史の軌跡-」の案内が掲載されているのです。実はタイトルはまだ仮です。でも、だいたいはこの方向で行こうかと思っています。会期は2020年10月3日(土)から12月6日(日)までです。月曜日と祝日の翌日は休館です。

なぜ緒形拳さんか?緒形さんは1958(昭和33)年に劇団新国劇に入団以来、2008(平成20)年に71歳で亡くなるまで、半世紀にわたって、舞台、映画、テレビドラマ、ドキュメンタリーなどの各分野で、晩年まで主役を務めるなど、まんべんなく活躍を続けた戦後日本を代表する名優です。緒形さんが出演した作品は、実に舞台267本テレビドラマ209本テレビドキュメンタリー30本映画70本にもおよびます。まさにその軌跡自体が、戦後の芸能史、大衆文化史の変遷を示しているといっても過言ではありません。

しかもこの時代は、大劇場大衆演劇や映画の全盛期から、テレビの登場によってまさに大衆文化が大きく変わっていく時代、さらにはインターネットの普及によって、テレビを含む既存のメディアが変容していく時代と重なっています。また、その道のりは戦後の高度経済成長からオイルショック後の不況、バブル経済バブル経済の崩壊IT革命とめまぐるしく移り変わっていった戦後日本の歩みとも重なっています。 一人の俳優の歩みから、戦後の芸能史、大衆文化はもとより、戦後日本の歩みを通覧していく。そんな大胆な試みができるのも、緒形さんの業績はもとより、緒形さんが大量の資料を残されてきたからです。

こうした芸能関係の資料というのは、なかなか残りづらいものですが、緒形さんは舞台、映画、テレビに関係する台本、パンフレット、チラシ、ポスタ、写真、衣裳、小道具などの他にも、出世作となったNHK大河ドラマ「太閤記」(1965年)以来亡くなるまでのスクラップブックや書簡、葉書、書籍などその歩みを分析するための資料が揃っています。さらに緒形さんは、書画や作陶、貼り絵など、趣味人でもありましたから、そうした作品も高い評価を受けています。そうした中には、自筆の原稿もたくさん残されており、俳優としての心構えや師匠のことなど芸能関係から、時事問題、自然や環境に関する問題など、社会的な問題についても書き残してあります。それもまた、時代の生き証人の言葉として、貴重な資料です。だからこそ、一人の俳優から、舞台、映画、テレビといったジャンルを超えた研究、そしてその背後にある時代の動きを分析する研究ができるのです。

ただし、展示会を思う存分な形で開催するためには、肖像権、著作権、著作隣接権等々いろんな問題をクリアーしなければなりません。一昨年からさまざまな研究助成に応募していますが、なかなか認めてもらうのが難しい状況です。

そこでまた、アカデミスト株式会社にお願いして、クラウドファンディングを実施することにしました。アカデミスト株式会社にお願いするのは、あくまでも先のような研究テーマの実践とその成果として展示会を開催したいと思うからです。

また、随時お知らせします。皆様のご協力を何とぞ何とぞよろしくお願い申し上げます。

投稿者プロフィール

馬場 弘臣

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!

コメントを残す

コメントを残す

«
»
  • LINEで送る