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緒形拳展 記念冊子念校終了

初校が終わったと書いたのが10日のことで、本日16日まで、再校、三校と怒濤の校正でした。先にも書きましたように著者校は初校のみで、再校と三校は編集担当の私と横浜市歴史博物館の井上副館長、そして別に校正を依頼している学園史資料センター(東海教育研究所)の中西君でやっております。

問題は、私だけが担当している「緒形拳からのメッセージ」です。これは緒形さんの原稿から直接文字に起こすもので、中にはすでに活字になったものもあります。それらももとの原稿に戻って翻刻するという試みです。メッセージを資料翻刻の要領で活字にしていくわけです。緒形さんはところどころで旧字や異体字、簡略文字、そして旧仮名づかいを使われていますが、極力そのままとしています。活字になったものをそのまま載せるのでは、その本を読めばいいことですから、それがどのように変わっているかみていただくのも意味があることかなと思っています。

とはいえ、そのままと言うのが意外に難しい。例えば「何」と書いてあるところを平仮名で「なに」と書いてあったら、ワープロで入力している際には、だいたい漢字に変換されています。それが意外と気づかない。それにもとの原稿にも挿入や抹消、行替えがありますから、そこら辺はその都度判断して、ここは削除したまま、これは削除を活かすとか判断していかなければなりません。全くの翻刻とは違いますから、これは議論をしていても始まらなくて、誰かの基準でやらなければなりません。それに明らかな誤字脱字は修正するという方針をとっていますから、まんまの翻刻ではなくて、編集を入れた翻刻になりますから、すべて私基準でやりました。だからここが1番修正が多いのです。何より、緒形さんの生の声を届けたい。もちろん、元原稿に手を入れて、編集をして普通は出版をします。でも、最初の原稿は、編集としては未完成でもその人が持つそもそもの想いとか、表現とかが如実に表われるのではないかという考えからです。ですからここはすべて私の責任でやっております。

今回の冊子では、三校が念校を兼ねています。念校というのは、『広辞苑』によれば「(印刷用語) 校了にすべき段階においても、訂正が多く、校了にすることが不安な場合、念のためさらに校正すること。また、その校正刷。」とあります。本来ならば、この後にもう一度念のために念校をするのですが、これが念校で、本日校了しました。校正はいつも不安です。誤字脱字…考え出したらキリがない…。

取り急ぎこちらが表紙になります。

金曜日には展示品を博物館に運び込みますから、ただいまその準備真っ最中です。キャプションも書かなくきゃ、年表も…。あー授業も始まる(>_<)まだまだ地獄の日々が続きます!

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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