文化二年 小田原御家中御分限并御役付

お知らせ
文化二年 小田原御家中御分限并御役付

今日から師走ですね。本来は和尚さんが走る月のことを言うそうですが、現実的に今は教師が走る月ですね。卒論提出まで残すところ19日…。大丈夫かな…。

さて、本日はわが野の花出版社から『文化二年 小田原御家中御分限并御役付』が発行される日です。すでにAmazonでは、11月24日(木)から予約が始まって、28日(月)から正式に販売開始となりました。予約開始日に予約をしまして、28日には第1陣が届いております。こちらです。 

表紙と裏表紙はこんな感じです。写真は表紙が小田原城の天守閣、裏表紙が銅門です。私が撮りました(^_^)vデザインはいつも通り目七君に頼んでいます。なかなかいいのではないでしょうか!

「分限」とは「分限帳」のことで、江戸時代の藩のいわゆる家臣団名簿です。名前はもちろんのこと、役職や住所、家格などいろいろな情報が書き上げられています。小田原藩の場合、役職が家格を兼ねていて、これを「順席」といいました。だから「分限帳」だけではなく「順席帳」と書かれたものもあります。史料によって異なるのですね。小田原藩大久保氏の場合は、享保9年(1724)の「順席帳」が最も古く、天明2年(1782)、文政8年(文政8年(1825)、文政期(1818~30)、天保4年(1833)のものが活字になっており、他に安政5年(1858)の「順席帳」が知られていました。文化2年の「分限帳」は神奈川県立公文書館が所蔵しているもので、初めて活字になります。

解読作業自体は、小田原の「たこ乃部屋」という古文書解読のグループが行ったものです。今年の5月10日のことです。小田原史談会会長の荒河さん「たこ乃部屋」の松島さんと大井さんを紹介されました。当初は、この文化2年の「分限帳」を活字にしたいので、解説を書いて欲しいということと、刊行する上での注意点などを尋ねてこられたのでした。そこで私から野の花出版社で正式に刊行しないかと持ちかけたわけです。

従来ならば、どこかの印刷会社に部数を指定して印刷料を払います。野の花出版社では、印刷料を出す分を、刊行された本を買い取ることで刊行したらどうでしょうというお話をします。自費出版には変わりはありませんが、ちゃんとISBNもつきますし、定価もつけて販売します。ただし、一般の本屋さんに並ぶわけではなく、Amazonや楽天Books、三省堂オンラインで、オンデマンド出版という形で出版することになります。野の花出版社としては、売れた代金の一部が入ることで成り立ちます。5月の段階では8月に出版の予定だったのですが、いろいろと修正などがあって、結局、ここまでずれ込みました。

それにしてもみなさん熱心で本当に感心しました。史料の読みには間違いもまだありましたし、表や図の作成についても見やすさや表作成の方法として注文をつけることが多かったのですが、着実にしっかりとやってきてくださいました。本当に学生たちにも爪の垢を煎じて飲ませたいです(^^)

本編は上に写真版を載せて、下に解読を書く形です。

こんな感じです。なお、この作成についてはすべてお任せでした。こうした組版を自分で作成するのは難しいのですが、ExcelやPowerPointを使うなど、工夫に工夫を重ねて作成されていましたから、そこはそのままお任せしました。ただし、写真がモノクロのコピーだったので、新たに撮影し直してきてもらって、それをグレースケールに変換して貼り付けることもお願いしました。

小田原藩の「分限帳」は「順席」の順番に並べてあるのが常だったのに対して、本史料は知行高・禄高順に書かれてあるのが特徴です。また、住所があるのも特徴だったのですが、これを地域ごとに一覧表にするというたいへんな仕事もすでにやっていらっしゃいました。さらにその住所を城下図に落とすことも!

この原図にも地名は書かれてありますが、ないところもあって、そこも独自に調べて書き込まれています。こういったことはやはり地元の方が1番です。史料でしかみていない私たちに比べて、よくご存じです。

そうした情熱をかたむけて発行された1冊です。93ページで900円(税抜)です。興味のある方はぜひご購入いただければと思います。また、こうした史料集はもとより、研究書、とくに博士論文を刊行したいと考えている方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。原稿さえ作っていだければ費用は係りません。もちろん、組版や表紙を頼みたければそれだけ費用は係りますが…。今年度は史料集と研究書を1冊ずつ刊行の予定ですが、まずは野の花出版社第3弾の『文化二年 小田原御家中御分限并御役付』をよろしくお願いいたします!

投稿者プロフィール

馬場 弘臣

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!

コメントを残す

コメントを残す

«
»
  • LINEで送る