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お題No.16 韮山江川代官御仕置条目 その3

久しぶりにlet’s古文書の続きをアップします。伊豆国田方郡土手和田村文書のうち韮山江川代官所の「御仕置条目」を読んでいましたね。大仰な表題が搗いていますが、内容はいわゆる「五人組帳前書」です。この6条目からです。2つのページにまたがりますので、写真は2枚アップしておきます。

いつも通り解読しにします。

【書き下し文】
一御年貢米金・小物成・浮役・臨時物・運上物すべて上納方の儀、別して申し渡し候通り期月或は相触れ候日限の通り急度相納め申すべく候。取り立ての儀におゐては願い・訴訟等如何様の儀これ有り候共聞き届けず、若し申し渡し候期月・日限等上納員数金不足は名主・与頭越度穿鑿を遂ぐべくの条、兼ねてその旨を存じ、取り立ての儀申し触れざる以前より期月を考え、百性前油断これ無き様差し心得罷り有べく候事
附り、年貢引き負い欠落仕り候と相見え及び候ものこれ在らば五人組として穿鑿を遂げ、名主・与頭・年寄相談押置、早々申し来るべく候。油断致し欠落致し候は、そのもの御年貢五人組として弁納致させ、彼ものとも急度尋ね出させ申すべく候事

【解説】
6条目は、年貢米金などの上納についての規定です。今回は現代語訳をしてみましょう。

年貢米金・小物成・浮役・臨時物・運上物などすべての上納については、特別に命じたとおり、期月あるいは触れておいた通りの日限通りに必ず上納しなさい。これらの取り立てについては、嘆願や訴訟があっても聞き届けない。もし命じた期月・日限などや上納の員数・金銭が不足している場合は、名主・与頭の過失として取り調べるように、前々からその趣旨を理解し、取り立てについて命じる以前から期月を考え、百姓たちが油断がないように心得るようにしなさい。

補足、年貢を抱え込んで行方をくらましたと思われる者がいたならば、五人組で取り調べ、名主・与頭・年寄で相談をし、早々に申し出てきなさい。油断をして逃げたのならば、その者の年貢を五人組として弁済さえ、逃げた者を必ず探し出しなさい。

江戸時代の年貢は米で納めると一般的に言われているかと思います。確かに米年貢が主で、だから石高制が機能しているのですが、金銭で上納されるものも多いです。関東の場合は田方の年貢は米で、畑方の年貢は永で上納するのが一般的です。永は中国の貨幣である「永楽通宝」通称「永楽銭」のことです。ただし、江戸時代は独自の銅貨を生産していますから、永楽通宝は流通貨幣としては使われていませんが、1貫文=1両で計算しますので、表示のための貨幣として帳簿上はよく使われています。帳簿上というのは、実際の上納の際には流通貨幣に換算して上納するからです。
年貢米金以外にも小物成や浮役(うきやく)、臨時物、運上物という項目が租税として列挙してあります。どれも辞典で調べることができますので、ぜひ調べてみてください。

【解読のポイント】
こうした「五人組帳前額」や教諭書などでは、変体仮名が多用されます。今回の条文では1行目のすべきは「春べ亭」と書かれています。変体仮名を覚える練習もしてみてください。

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
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