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やっぱり!一太郎!

今年度の秋学期には、日本史情報処理という科目をもちまして、一応、日本史専攻の学生たちにMicrosoft Officeのうち、Word、Excel、PowerPointの使い方について教えました。このサイトでも何度が書いていますが、さすがに一人で40人の学生を相手にするのはしんどかったです(^^;)

テキストを作成して、最初に説明をして課題をやってもらうのですが、ディスプレイの向こうでは何をやっているかわからない。後で聞けば、ろくに話は聞かないでさっさと課題を始める学生もいたそうです。でも、前で説明している間はわからない。で、実際に課題をやり始めるとあっちこっちで手が上がって、もうパソコンの間を行ったり来たりで、それだけでも疲れました。

この授業はあくまでも日本史の卒業論文を書くためにはどうしたらよいかということで、そのために必要なことを教えていきます。ですから、Wordであれば、まず文章は縦書きでの書き方を教えますし、ルビの打ち方や補注の書き方、一つ書きなどでのインデント(文字下げ)のやり方、人名を揃えるための均等割付のやり方など、いろんなテクニックを教えます。

まーそこで改めて感じたのですが、Wordは使いづらい。1枚ものの表示だったらよいのですが、縦書きで2ページにわたるものは相変わらず右から左ではなくて、左から右にスクロールするし、均等割付もインデントも煩わしい。いずれもプロムラミングすればすむことでしょうに、結局は、横書きの報告書用のソフトですね。

で、やっぱり、私は今でも一太郎を基本的に使っています。縦書きの日本語処理に優れているだけではないんです。そもそも思い通りにレイアウトするには、行間や文字間を調整する必要があるのですが、それがWordではもともと面倒なのですね。「一太郎を使っている」というと、「まだあるんですか?」はいい方で、若い人だと「それって何ですか?」という反応も出てきます(^^;)

何が1番いいのかというと、実はカスタマイズ機能なんです。だいたい使う機能というのは決まっていますよね。ましてや私らのような文章を書くことを専門にしていると、例えば画面に表示されるアイコンは頻繁に使うものにしたい。それよりもマウスは確かに便利だけれど、書くだけであればなるべくキーボードから手を離さないでいたい。

その点、一太郎は、アイコンについては自由に好きなものを配置して表示させることができます。さらにキーボードにもコントロール・キー、シフト・キー、Altキーと組み合わせて、文頭や文末へのジャンプ、ルビ、均等割付など、好きな機能を割り付けることができます。それどころか、キーボードマクロといって、キーの動きをマクロとして記憶させることができるのですが、それもまたキーに割り付けることができます。

ですから、例えば史料を筆写する場合、名主などの肩書きは、本文が9ポイントであれば、7ポイントにして、村名より名前の方にくっつけて入力します。具体的には右の行間が0.4mmで、左の名前を0行間にするなどです。また、百姓名であればだいたい5文字均等に割り付けます。こんなこともキーボードマクロと組み合わせれば、自動化できるのです。返り点もです。

言葉にするとなかなかわからないですよね。例えば、こちらはただいま編集中の「吉岡家代々由緒書」の1ページです。

「吉岡家代々由緒書」サンプル

これをWordで翻刻するのはたいへんなのですよ。ただいま、神谷先生と一緒に編集に励んでおります。ということで、私一代は一太郎を使いづづけて終えたいと思っています。これからはわかりませんが、現代では、学生はおろか、娘にも使えとは言えませんから。多勢に無勢です。本当によいものが残るとは限らない。それがデファクトスタンダードの時代ですからね(T_T)

一太郎2020プレミアム

あ、別にジャストシステムさんの回し者というわけではありません、あしからず。もし、いろんなテクニックについてお知りになりたい方がいたら、具体的な方法についてはまた書きます。ま、いないか(^^;)とりあえず、一太郎を駆使して「吉岡家代々由緒書」を翻刻すべく、神谷先生と頑張ります!

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投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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