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シーボルト研究の概観

私らしくないテーマですね(^^;)実は、私の恩師である沓澤宣賢先生のご講演のテーマです。副題として、「これまでのシーボルト研究の動向と今後の動向」とあります。先生は、総合教育センターを退職された後、3年間特任教授を務められ、最後は学園史資料センターの副センター長として、何より『東海大学七十五年史』の編纂・刊行に尽力されました。1978(昭和53)年、先生が日本史課程の助手に就任された年に私は入学しました。それからですから優に40年…。人生の3分の2のおつきあいになります。月日の流れを感じます。

沓澤先生は現在、洋学史学会の会長や日本シーボルト協会の代表幹事を務めておられて、まさにシーボルト研究の第一人者です。今日のお話は、シーボルトの紹介から始まって、日本におけるシーボルト研究の始まりから現在の研究の到達点について丁寧に整理されていました。また、シーボルトの資料がどのよう伝来してきて、今どうなっているのかといった資料論についても説明されていて、まさに先生らしい講演だなと思った次第です。これからシーボルトやその息子たちの研究を志す人、日蘭交流に関する研究に関心のある人、幕末史の外交について学びたいと思っている人にぜひ聞いて欲しかったですね。

退職されると言っても、来年からは非常勤として週3日授業を持たれるとのこと。まだまだお元気です。それより今後は洋学史学会の会長として、再来年の洋学史研究会創立30周年に向けて、洋学史に関する辞典を刊行する準備に邁進されるとのこと。それも本編の辞典の他に地方編として、各地の洋学史に関する資料を縦覧できる辞典も合わせて編纂されるそうです。歴史家は何を残すか。それに尽きるのかも知れません。

懇親会の席でスピーチを頼まれた私は、僭越ながら、先日の資料調査の際に見かけた緒形拳さんの「わが習字」という書の言葉を贈らせていただきました。

五十になって生れたて/六十七十洟たれ小僧/九十ぐらいが/働きざかり/百になったら字が書けたい/愚鈍なるものは/精進あるのみ

先生にはこれからも元気でご活躍いただきたいと切に願っています。

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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