ようやく再発信 幕府遊撃隊己巳150年慰霊

今日のつぶやき
ようやく再発信 幕府遊撃隊己巳150年慰霊

怒濤の5月が去って行きました。それにしても、サイトをリニューアルしてから、こんなに間があいたことはなかったです。最後の更新が5月の24日でしたか…。それから上の娘の結婚式があって、昨日は箱根での講演会で、おとといは小田原での講演会…。先週は、2つの講演会の準備でほぼ費やしました。書きたいことはいろいろあったのですが、6月、週明けの声を聞いてようやく落ち着きました(^^;)といっても、今日は今日で1時限目と2時限目は現代教養科目「人文科学における歴史学」前半の定期試験…。なにせ夕べ作成したものですから、出題ミス大あり…あかんわぁ~(>_<)

どこから話を書こうかなと思っていたのですが、やっぱり再発信第1号は、1番ホットなところで、昨日の遊撃隊慰霊祭について書きましょう(^^)

遊撃隊とはそもそも「遊撃のために備えた軍隊または艦隊。別働隊。遊軍」といった意味になります(『広辞苑』)。ただし、幕府遊撃隊といった場合、慶応2年(1866)に諸銃隊を合併併合して編成された遊軍のことです。人見勝太郎や伊庭八郎が有名ですよね。遊撃隊の一員は、榎本武揚にもしたがって、箱館まで転戦し、箱館戦争で敗れて壊滅します。それから今年が150年目にあたるわけです。

慶応4年(1868)が明けて早々に起きた鳥羽・伏見の戦いの後、遊撃隊は江戸を脱走し、房総半島を廻って譜代小藩に参加を呼びかけていきます。これにいち早く呼応したのが、請西藩主の林昌之助忠崇でした。遊撃隊はさらに、勝山藩や館山藩、前橋藩、岡崎藩などの藩兵を加えながら、館山から江戸湾を横切って、真鶴に上陸します。そして、小田原藩との様々な交渉、談判、行き違いなどのもろもろのことが重なって、戊辰箱根戦争へと突入していきます。その時の箱根や箱根の住民の様子について、箱根町立郷土資料館の高橋さんがお話になり、私が小田原藩主大久保忠礼(ただのり)の出自から幕末の情勢の中で小田原藩が果たした役割、幕府からの軍役負担の大きさを交えて、戊辰箱根戦争の意味について話をさせていただきました。Twitterなどでも概ね好評だったようです。まぁ、おもしろくなかったという方はつぶやきもなさらない…かな(^^;)また、詳細は発表できる機会があれば…。

なお、昨年の箱根町立郷土資料館の企画展「戊辰箱根戦争-小田原藩×遊撃隊」の図録が発売されています!600円で、なかなか充実していますよ。今までなかなか箱根戦争を取り上げた展示とかなかったですからね。現金書留で申し込まなければならないのがちょっとネックか(^^;)隣は、この会を企画された「遊撃隊顕彰会」が作成されたもので、とくに遊撃隊士一覧は必見です!!

図録と記念読本

講演の前にはランチ会が開かれまして、第1軍の隊長人見勝太郎、第4軍の隊長林忠崇、第5軍の隊長山高鍈三郎の御子孫の皆さん方とお話しする機会が持てました。また、伊庭八郎をとりあげた漫画「MUZJN-無尽-」を書かれている漫画家の崗田屋愉一さんともご挨拶ができて、なかなか充実した1日でしたよ。崗田屋さんには、講演に際してお花まで飾っていただきました。初めてのことでしたので、感激です!また、人見さんの御子孫などは、人見勝太郎の履歴書や箱根戦争の際に軍旗として使われた漢詩の旗などを展示してくださって、写真撮影もSNSへの投稿もOK!何とも太っ腹なお方でした。ご本人は体型的にもそうです!とさらに太っ腹なところをみせていらっしゃいました。いや、惚れますね(^^)

講演会が終わると、お待ちかねの三重亀山に伝わる「心形刀流」の演武です。何を隠そう、私はこれを楽しみに講演を引き受けたほどです。「心形刀流」は、伊庭八郎の流派で、伊庭の道場は江戸の四大道場の一つに数えられていたほどです。いわゆる殺陣ではなく、まさに「演武」なのです。かけ声も鋭く型を披露されていきますが、やはり真剣での「演武」は迫力があります。とくに師範の真剣による二刀流の演武は見事でした。

最後は、早雲寺のご住職による法要です。三鱗の襟を眺めながら、150年ほど前の時代に想いを馳せます。

なお、ご住職が法要を行なわれている「遊撃隊戦死墓」は、遊撃隊第1軍隊長人見勝太郎が、明治13年(1880)に建立したものです。結構早い時期に建立されたことも珍しいですが、合わせて福住九蔵(二宮金次郎の高弟・福住正兄)ら、箱根湯本の住民たちが協力していることも特筆すべきことでしょう。

最後、人見勝太郎の御子孫のご挨拶は、この時代に想いを馳せながら、いわば逆賊のように扱われた先祖に対して、150年目にしてこうして法要ができたことに対して深く感謝の意を述べられていて、こちらもうるっときてしまいました。歴史を紡ぐというのは、いろんな形があると改めて強く感じた1日でした。

投稿者プロフィール

馬場 弘臣

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!

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