緒形拳展余話 三回忌 十三回忌 そして20周年
昨日は、北條美智留さんの三回忌でした。いやはや早いものです。劇作家北條秀司の娘で、女優そして声優のはしり。ゼロ戦隼人や名犬ラッシーといったテレビ初期のアニメや外国アニメの声優をやっていらっしゃったのですね。
そして何より、緒形拳さんが新国劇に入団されるきっかけをつくった方。緒形さんは5人兄弟の4男で、すぐ上のお兄さんの信司さんが、俳優養成所2期生として美智留さんと一緒だったのが大きなきっかけでした。緒形さんは、新国劇辰巳柳太郎の「王将」を観て入団を思い描くようになります。そこで頼ったのが、美智留さんでした。美智留さんを通じて、北條先生に頼んでもらいたいと考えたのでした。それまで楽屋まで押しかけて辰巳さんに入団を懇願しても辰巳さんは「うん」とは言ってもなかなか実現しない。ところが、北條先生の紹介状を持っていったら一発OKで驚いたそうです。美智留さんと緒形さんはそれこそ盟友という言葉が憚れるほどの相方です。何だかうまく表現できません(^^;)
こちらが美智留さんが北條先生と眠る大船の龍宝寺。「北天に帰らん」と書かれた先生直筆をかたどったお墓。
実は、今年は緒形さんの十三回でもあります。それを幹太さんからお父さん拳さんの資料整理のお話しが来たのが2016年11月のこと。それから翌17年の4月頃でしたでっしょうか?2020年が拳さんの十三回忌にあたるということを聞いて、ふと思い立ち、日本史専攻の専任・非常勤の懇親会でやりたいと言ったところ、親友の横浜市歴史博物館井上館長がうちでもできると言ってくれたのが、6月頃のことだったでしょうか。
緒形さんは結婚されてからずっと鶴見に住んでいらっしゃったので、横浜が展覧会をやることはちっともおかしなことはない…。そこから怒濤の模索の始まりでしたね。でも、それが美智留さんの三回忌と重なるなんてよもや思っていもいませんでした。
そして2020年は、私たちが美智留さんと出会ってから20年になります。北條家の資料整理を開始してから20年です。当時は大学院生だった横浜開港資料館の神谷大介君、今でも北條家に通っている千田君、今でも手伝ってくれる目七君、加瀬君、そして当時はまだ学生だった薄井君、三森君、うちはかみさんも娘2人も参加して、井上氏は奥さんも参加して、それから北條先生の舞台をテーマにした展覧会と美智留さんと緒形さんのトークショーを本学の松前記念館講堂で開催したのが2004年。北條先生の書画の展覧会を紀伊國屋画廊で開催したのが2007年。これには緒形さんも駆け付けてくださいました。ついこの間のようでずっと昔のことのようで…。それぞれの人たちの想いが詰まった展覧会でもあります。
ちょっとセンチメンタルになりました、美智留さんは目力が強くて、何でも見透かされているようで、でも笑顔が素敵で、物事ははっきりという姉御肌で、一緒に歌舞伎を観に行ったり、緒形さんの芝居ももちろん観に行きましたね。美智留さんのおかげで新橋演舞場や歌舞伎座の楽屋にも行くことができました。緒形さんの楽屋にももちろん伺いました。
美智留さんの三回忌、緒形さんの十三回忌、そして私たちの輪がつながってから20周年…。そんなこんなを偲んだ日曜日でした。
こぼれ話はまた展覧会まで追々アップしていきます!開催までカウントダウン26日。
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