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コーネル・メソッド再考

本年度から始まった1年生用の基礎教養科目の一つ入門ゼミナールA_基礎編で、ノートの取り方として「コーネル・メソッド」という方法を紹介していることは、先にも書きました。

入門ゼミナール…コーネル・メソッド

改めてコーネル・メソッドとは、アメリカのコーネル大学のW・ポーク教授によって開発されたノートを取る方法です。ここでは授業を受ける際の方法として紹介していますが、構想ノート等にも使えます。北米の大学ではもっとも多く使用されている方法だそうです。最大の特徴は、ノートを(1)ノート・エリア、(2)キーワード、(3)サマリー・エリアの3つのエリアに分け、後で書き込むことを前提とした方法だということでした。

こちらは私が授業用に作成したコーネル・メソッドのための用紙です。A4で作成しています。(1)ノート・;エリアは、授業中に使うエリアで、授業を聴きながら、ここにメモを取っていきます。授業が終わった後は、(1)ノート・エリアとレジュメなどの資料を見返しながら、(2)キーワード・エリアにキーワードとなる言葉を書き出し、最後に(3)サマリー・エリアで授業の内容を箇条書きでまとめます。サマリーとは「まとめ」「要約」のことでした。

そこでゴールデンウィークに入る前に、この用紙2枚(両面印刷)を配ってコーネル・メソッドを試してみる授業をしてみました。話は私の研究の一つで「宝永富士山大噴火」というタイトルで、宝永4年(1707)の富士山噴火について、噴火のようすに被害の実態、さらにその前後の災害状況などを1時間ばかりかけて講義してみました。話をしている間に(1)ノートを取り、終わった後で(2)キーワードを書き出し、(3)サマリーをまとめるという手順です。もちろん、(1)ノート・エリアに書き足しても構わないし、場合によっては絵や図を書いたり、色ペンやマーカーを使って視覚的にわかりやすくするといいよと話してあります。

月曜日の3時限目-文学部歴史学科考古学専攻と4時限目4時限目-社会文化学部心理・社会学科の2コマです。先ほどすべてのノートをチェックしましたが、書く量もさまざまなら書き方もさまざまでしたが、思っていたよりもみんなきちんとまとめてくれたようです。もっとも授業ではパワーポイントと図版や史料の書き下し文などのレジュメを用意していますから、比較的まとめやすいとは思います。色ペンやマーカーなどを使っている学生はもとより、噴火のようすや火山灰の飛散状況などの絵を書いてきてくれた学生もいました。こうやって書いてくれると、チェックする私の方もどこを重点的に見たり聞いたりしているかがわかりやすくなっていていいですね。これは話だけにして、パワーポイントにもレジュメにも書かれていないんだけれど、チェックしておいて欲しいことなど一発で確認できます。せっかくですからもう少し試してみましょう。こちらもせっかくチェック用のハンコも作りましたからね!

注意点や意見などは赤ペンで書きますし、学生たちも色分けに赤ペンを使うことが多いので、インクは青色にしてみました。ようやく活用できて喜んでいる私でした。

ところで前にも書きましたように、コーネル・メソッドについては、学研からノートが発売されています。せっかくですから買ってみました。

左側のノートが横罫のコーネル・メソッド専用ノートで、右側が方眼紙のコーネル・メソッド専用ノートです。

こちらの写真では、上が横罫のコーネル・メソッド専用ノート、下が方眼紙のコーネル・メソッド専用ノートの内容となっています。

実際、使ってみたのですが、正直なところ、B5ノートではとくに(1)ノート・エリアが少し窮屈に感じています。ちょっと大きくなりますが、A4のノートの方が使い勝手がよいように思います。アメリカにはB判のサイズはありませんので、たぶんノートはA4でしょう。

それから実際に使ったり、使わせてみると(2)キーワード・エリアと(3)サマリー・エリアに書く内容についてもう少しブラッシュアップしないといけないかなと思います。言葉としては同じ語を使うことが多いですし、まだまだ工夫の余地はあるようです。その意味でもやはり、もう少し使ってみようかなと思っています。

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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