Professor's Tweet.NET

近世史料を読むということ L355Mile

今日から専門科目の授業が始まりました。2時限目に日本近世史基礎演習、4時限目に卒業論文基礎2です。日本近世史基礎演習は7名、卒業論文基礎2は6名です。

日本近世史基礎演習は、そのまま近世の史料を読む、というか読解する基礎訓練の授業です。今年度は昨年度同様『幕末風聞集 増補改訂版』から、ペリー来航と浦賀に関する史料をピックアップして読む訓練をします。近世史料、とくに中期以降の史料を読むためには、とにかく返り点をきちんと打てるようになることが肝心です。返り点といっても近世史料の場合、基本的にはレ点と一二点がほとんどで、稀に上下点があるくらいです。だから、これらの返り点をいかにきちんと打てるかが近世史料を読む基礎となります。近世史料も漢文体ではありますが、かなり簡略化した上に仮名が交じった変体漢文もしくは和化漢文という形態なのです。再読文字もありません。「未=いまだ~ならず」というのが再読文字ですね。返り点がつく文字を返読文字といいますが、それもおおまかには決まっています。ただ、とにかく史料の数が多くて多様で、中にはもの凄く長いものもありますから、途中で訳がわからなくなるのも普通です。でも、そこを克服しなければ卒業論文は書けません。

そこで、卒業論文の前に近世史料を読む訓練を演習という形でしっかりとやるわけです。とはいえ、各自に史料を割り当てても、自分のところだけをやることが多くて、14回ぐらいの授業ではなかなかマスターすること自体が難しいです。ましてや古文書なんて…というのが現実です。以前はグループワークでやったりしていましたが、結局、グループワークにしてもグループ内で読む箇所を割り振ったりするようになりましたから、近年は個人中心になりました。

本日は自己紹介に始まって、シラバスで今後の授業の進め方について説明しました。また、卒論に向けて興味のある時代や分野、この授業を受けた理由、ペリー来航についてイメージすることなど、アンケートをとって、学生たちと会話していきます。最後にこれから授業で使うテキストの史料1について返り点と書き下し文を綴る小テストみたいなことをやって本日は終わりました。

小テストといっても点数をつけるわけではなく、あくまでも現在、どれくらいの力量があるかを試すものです。添削して来週の授業でそれぞれに返し、そこから史料の読み方やレジュメの作成方法について説明していきます。まだまだこれからこれから、まず第1歩を踏み出したばかりです。

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
モバイルバージョンを終了