茶の湯の奥深さ

今日のつぶやき
茶の湯の奥深さ

昨日、3日のことです。相模大野で本学エクステンションセンターの古文書講座を開催していることは既報の通りですが、そこの生徒さんたちと食事会がありました。招待されたというのが本当のところです。相模大野の「りほう」という京懐石のお店です。このお店が入っているビルの4階と5階には茶室があって、先に見せていただきました。「待光庵」という茶室です。こんなところに、と驚きましたね。

エレベータを降り、「待光庵」の扉を入ると、正面には利休像が。本来、利休像は奥の方に鎮座しているものなのですが、ここではお弟子さんがすぐに拝むことができるように入口に置いてあるそうです。こちらではたいへん興味深い軸なども見せていただいたのですが、長くなりますので、こちらについてはまた明日にでも。

食事の後、茶の湯のDVDを見せていただきました。大学では茶道研究会の部長教員をやっているのですが、恥ずかしながらほとんど茶道のことは知りませんでした。もっとも驚いたのは、茶の湯は、ただお茶を飲むだけではなく、ふた時をかけておもてなしをするそうです。ひと時は約2時間ですから、約4時間です。客人が腰掛け(待合所)から茶室に入り、喉を潤すお水をいただいてから、懐石料理をいただく。これを初座(しょざ)といい、その後、また腰掛けで待っていただき、その期間に茶室を模様替えして、お茶の準備をする。これを後座(ござ)というのですが、これには本来、まず濃茶を出し、その後、薄茶を出すのだそうです。その間、例えば春夏秋冬の季節に応じた題材など、最後のお見送りまで、すべてがトータルでコーディネートされていなければなりません。いや、亭主というのはたいへんです。

だから、たとえ同じ人たちと茶席を囲むにしても「一期一会」(いちごいちえ)なのですね。井伊直弼は、客人を送り出した後、一人で茶を飲む。そこで「独我観念」(どくがかんねん)という境地を見いだす…。なるほど、そういう意味だったのかと、目から鱗が落ちる想いでした。また、この4時間という時間をかけてもてなすとしたら、武士が茶の湯を好んだ意味もまた別の考えが必要だなと考えされられました。

ただ、お茶を飲むだけではないのですね。さらにその後、クリスマス茶会の風景も見せていただきました。和洋折衷です。それもありなのです。いや~茶の湯は本当に奥が深いです。

 

 

投稿者プロフィール

馬場 弘臣

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!

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