今日も研究室に籠もっております。来週、土曜日に予定されている東洋大学における研究会の準備です。それにしても、眠い。朝がなぜこんなに眠いのでしょうか?
さて、相模大野の京懐石「りほう」のビル5階にある「待光庵」という茶室の話をもう一つ。実は当日、もう1幅掛け軸を見せていただきました。京都大徳寺435世で、大徳寺の塔頭黄梅院第14世住職を務めた大綱宗彦(だいこう そうげん)禅師(安永元年(1772)~安政7年(1860))の書です。
大綱禅師は、裏千家11代玄々斎宗室や表千家10代吸江斎宗左、武者小路千家7代以心斎宗守と親交が深く、茶の湯をはじめ、和歌、書画に優れていたと言われています。この掛け軸はまさに茶室の席に掲げられるものとして軸装されています。「乙卯(おつぼう)初春」とありますが、具体的には、安政2年(1855)正月の書という事になります。内容がなかなかおもしろいですね。
「乙卯初春 八十四翁 大綱 異国船 よするとききて 法乃身も かミ風いのる 春ハ来にけり」
ペリーが再来航し、日米和親条約を皮切りに、ロシア、オランダ、イギリス、フランスとも同様の条約が締結された安政元年(1854)翌年の正月のことなのですね。「異国船 寄する」というのは、こうした状態をさすのでしょう。だから「法乃身」つまり仏に仕える身であっても「神風」が吹くことを祈る、と、鎌倉時代の元寇の故事を引いていますが、静かだけれども悲痛な叫びです。もっとも、江戸時代以前は神仏習合でしたから、結構、当たり前だったかも知れないですね。
こちらは裏千家ですが、この軸をかかげて、ペリー来航を題材にした茶会を開かれたとか。いや、なかなか興味深いですね!
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