研究報告は難産

今日のつぶやき
研究報告は難産

今度の土曜日、東洋大学での研究報告の準備をしています。研究会の基本テーマはずばり「豪農論」です。豪農と言っても、いくつか概念があって一定ではないのですが、近世史では、1970年代に故佐々木潤之介先生の「豪農-半プロ論」が主流でした。要は近世の後期に成長して富を貯えた農民のことで、地主、金融業(高利貸しや質屋)、商品生産者の3つが大きな要素とされ、多くは村役人を兼ねていると言われています。ここでは商品生産と貨幣経済の発達というのが、それまでの地主層とは大きな違いになります。
で、私は相模国の事例を報告するのですが…。相模国の場合、商品生産=米穀以外の作物ではなく、米穀そのものが商品生産だと思っています。で、豪農と言うよりも在郷商人(在方商人)としてみた方がわかりやすいかなと考えています。ちなみに在郷商人とは、村に住んでいて商業活動をしている百姓のことをいいます。百姓は今では差別用語の一つに数えられますが、=農民ではないのです。漁民も山の民も「百姓」です。で、兵農分離を基本とする近世社会では、商人は基本的に城下町などの「都市」に住んでいる人々をさします。だから在郷(方)商人なのです。在=村に住みながら商業活動を行なう百姓たちのことです。別の言い方をすれば「町人」身分ではなく、「百姓」身分として商業活動に従事するといった方が良いかも知れません、相模国には、そうした中k小の在郷商人、それも米穀商人たちがいっぱいいて、ま、それらは地主でもありますから、豪農でもあるのですね。何だかややこしい。
その在郷商人たちのネットワークというのをずっと考えていまして、今回は縁戚関係と報徳仕法を軸に報告する予定ですが、果たしてそれでは表面的すぎるかなとちょっと不安なのでした。
ただいま頭の中を整理中です。でも、ちょっと変わったことを話したい気持ちももちろんあります。

投稿者プロフィール

馬場 弘臣

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!

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