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古文書箱の歴史

いやいやそんな大それた話ではないのですが、共同会議室に収納させてもらっている古文書の整理がようやく終わりました。古文書の整理そのものはほとんど終わっていませんが、配列が終わったというところです。でもこうやって並べてみると、これまで使ってきた古文書保存箱の歴史がよくわかるなぁ~ということです。通常、古文書の保存には「こもんじょ箱」とよばれる被せ蓋方式の箱があって、それを使うのが一般的でした。中性紙でできたりっぱなものです。ただ、こちらは頑丈な分だけ結構重い。それよりも問題なのは、高さが足りなくて、保存用封筒が斜めになってしまうことでした。

江戸時代以前の古文書は、とくに竪帳とか横帳とか帳簿形式になったものは、基本的に平積みで置くようになっています。ただ、それだと保存スペースや扱いやすさの問題、使い勝手の問題でなかなかその通りとは行きません。基本は平積みのものを立てておいておく状態にするにはどうすればいいのかという問題だと思っています。

茶色い箱は、2002年ころだったかな?チェコのエンバという会社から輸入した保存箱です。大学史資料協議会の見学会で、どこかの役所か図書館で使っていたものをみて、大学史関係資料にはこれがいいかもと思って、大量に輸入しました。本当はこの箱は、本格的な保存用ではなくて、仮保存用なのです。本保存用は堅くてあつかいづらかったものですからね。とにかく、当時は、「こもんじょ箱」以外には適当な箱がなくて、安くて大量に買えるということで、あえてこれを選んだのでした。これでも中性紙の箱なんですよ。

そして、この箱を元にTRCC東京修復保存センター(http://www.trcc.jp/)に頼んで作ってもらったのが、緑色の箱です。これにはA3判とA4判の2種類があります。史資料を保管していくために気をつけたいのは、こうした箱の大きさを揃えることです。保存袋もそうですが、あまりモノの大きさに合わせて種類を増やさないことですね。で、規格化して最大限といえば、A3判になります。ま、エンバ社の保存箱と一緒ですね。で、なんでA4判を作ってもらったかというと、単純に置き場所の問題です。1枚目の左端に見えています箱、これは私が購入した古文書なのですが、他にも木箱と籐製の箱があって、かなりの量になりましたので、意を決してA4判で作ってもらったのですが、正直というかやっぱり小さかったですね(^_^;)

なお、これらの保存箱や保存封筒は、「スマートファイル」シリーズとして、TRCC東京修復保存センターで市販されおります → http://shop.trcc.jp/i-shop/top.asp

これらの箱は、ササからできていて、内側はピザで使われいる紙が使われているとのこと。中性紙というわけではないのですが、史資料への影響はほとんど中性紙と変わらないとのことでした。

あと、薄茶色のちょっと大きめの箱がありますが、これが最近よく使っている箱です。こちらはTRCC東京修復保存センターから提案を受けたのですが、ジャストサイズですね。A3判にせよ、A4判にせよ、これらは幅が10cmで設定してもらっています。女性でもかろうじてつかめる大きさという基準です。で、動かさなければこの箱は使い勝手もたいへんいいです。でも、移転とかで動かすとなると、3箱くらいを入れる別の箱が必要になります。なかなか難しいですね。

その点、こちらの薄茶色の保存箱ならば、高さも、幅も、奥行きも収まりが良くて、しかも被せ蓋式ですから、積み上げることも可能です。難点はちょっと紙が柔らかいことですね。ただ、これも本格的な保存用というより、仮保存用と考えた方がいいのかも知れませんが、でも、このサイズは捨てがたいですね。

さて、ここで史料管理学演習の授業もやります。と言うことは、クラウドファンディングのリターンとして、古文書を手に取って整理する作業を実体験していただこうと思っていますが、まさにここで、このような古文書を扱う予定です!

 

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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