京都御苑の中に入って、いよいよ禁裏御所を見学します。御所の形を「吉岡由緒書」と比べてみると明らかに違うことがわかります。現在の御所は長方形ですが、「吉岡由緒書」に描かれた御所は、北東の角がカギ型になっています。もっとも、蛤御門も「吉岡由緒書」では枡形のような形ですし、清和院御門や石薬師御門・乾門の位置も違います。門の形はだいたいどれも同じなのですが、堺町御門だけが門の脇に瓦葺きの塀があります。
さて、京都御所に入ってみましょう。御所には6つの門があります。ですが、現在の門の名前と「吉岡由緒書」の図にある門の名前は異なっています。
建春門-小田原藩が守衛していたことは昨日述べたとおりで、「吉岡由緒書」には「日御門(ひのごもん)」と書かれています。御所は南北に長いのですが、西面に3つの門があるのに対して、東面にはこの門だけです。道を隔てた地域は学習院発祥の地となっています。この門のを北側から眺めると、この空間の広さがわかるかと思います。また、この門は、萱葺きの唐破風で、比べてみると一番優美な門だと思いませんか?
建礼門-南面に1つだけある門です。萱葺きの立派な門ですが、「吉岡由緒書」ではそのまま「南門」となっています。
建礼門(南門)から蛤御門を眺めたところです。その広さがわかりますね。
西面には、宜秋門(ぎしょうもん)・清所門(せいしょもん)・皇后門(こうごうもん)の3門があります。これが「吉岡由緒書」では、宜秋門が「公卿門(くぎょうもん)」となっている他は、清所門・皇后門の2つとも「御台所門」となっています。御苑の外は南から「下立売御門」「蛤御門」「中立売御門」ですから、その由来からしてもよくわかります。現在は、清所門から御所の中に入ることができます。清所門と皇后門、つまり旧御台所門であったこの2つだけが瓦葺きです。
北側には1つ、朔平門(さくへいもん)があります。この門だけは「吉岡由緒書」でも同じ名前です。
さて、御所の中に入ってみましょう。ここでは紫宸殿と建春門(日御門)を裏から見たところを掲載しておきます。明日は仙洞御所を訪ねましょう。
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