本日は、本学文明研究所の公開講演会で、演者はイスラエルのテル=ハイ・カレッジ上級講師のヨハイ・アタリア先生でした。2時間におよぶ講演は英語でしたので、私はお話そのものはさっぱりでしたが(^_^;)山城貢司先生の通訳と解説が丁寧でしたので、大変興味深く聞かせていただきました。このポスターにもありますように、講演は、「アウシュビッツ」と「ヒロシマ」という「出来事」を経験したイスラエルと日本が、それとどのように向き合ってきたかを見定めることを課題とするということでした。それぞれの「出来事」が「トラウマ」として国民に共有されているという視点で、大きくいえば、「トラウマと文化・歴史」について研究されています。この「トラウマと文化・歴史」という視点自体が斬新ですね。
2時間におよぶ講演ですから論点は多岐にわたります。ここではとくに注目された指摘を何点かあげておきたいと思います。
1つ目は、日本とイスラエルのトラウマモデルの相違についてです。日本は、嘉永6年(1953)のペリー・ショックから和親条約の締結が一つのトラウマ、すなわち心的外傷後ストレス障害を起こした。その被害者意識がその後の加害者=戦争への突入への大きなきっかけとなったという指摘です。しかしながら、昭和20年(1945)の敗戦は、広島と長崎への原爆投下によって加害者であると同時に被害者になるという混在した状況となった。それがイスラエルとの大きな違いになってくるということでした。なるほど、たしかにこういう考え方は歴史学の分野ではしません。心理学的な視点ということになるのでしょうか。
2つ目は、それにも関わらず、日本は戦争の記憶をシャットアウトしている。東京を歩いても街中にはそのシンボルとなるものがないという、それは確かにそうです。例えば、幕末維新の「輝かしい」あるいは「悲劇」の歴史のシンボルはあったとしても、戦争を物語るようなものはあまり多くはありません。被害もそうですが、戦争のための施設そのものもです。
う~む、やはりこういった時には英語ができた方がいいですね(^^;)
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