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授業は始まったけれど…何だかなぁ…。

水曜日は専門の授業です。2時限目が日本近世史基礎演習、4時限目が卒業論文基礎2。基礎演習ではまず『世事見聞録』という、文化13年(1816)に「武陽隠士」なる人物が書いた当時の世相を語った本を読みます。「世事」は世の中の出来事やしきたりのことで、それらを見聞した記録と言うことですね。ついでに「武陽」は武州=武蔵国のことで、「隠士」は「隠者」と同じで俗世間を離れてひっそりと隠れて暮らす人といった意味になります。つまり武州で俗世間から隠れてひっそりと暮らしている人が、その俗世間のことについて見聞きしたことを書き綴ったということになります。文化文政期(1804~30)に関する一級史料です。大御所政治、化政文化、弊風に流される農村…等々文化文政期は、天保飢饉や天保改革、幕末維新の動乱など、その後の流れからしても何だかつかみ所のない時代です。だからこそ、おもしろい時代でもありますし、この時代を理解していないとその後の大きな変化の意味はわからないとも思っています。

それにしても受講者12名で、3名欠席、うち1名は受講を辞退したとかで履修者が代わったとか。はじめて持つ学年なのでなんともはや…ですが、それにしても受講を辞退ってなんなんでしょうかかねぇ(^^;)

それより問題は4時限目です。卒業論文基礎2は、前年度秋学期の基礎1に続いていよいよ卒論の具体的な方向性や内容を決めて、史料を読んでいきます。ここら辺で頑張っておくとあとが楽です。んが、なんと、7名中5名は就活のためにお休みとのこと(^^;)またもや何だかなぁ…です。しかも出席した2人はだいたい方向性も史料もほぼ決まっている。授業になりませんわ。どこかの大学の先生ではないですが、私の学生たちを返してくれ!!と言いたくなります。例年になく就職状況がよいと聞いていますが、これではどうなんでしょ?政財界の論理でいったら、大学どころか教育は崩壊してしまいます。だって学力は確かに落ちていますもの。

そう言えば、ただ今は、昨年度の秋学期の成績質問週間なので、質問に来る学生が多い時期です。直接来る学生、メールで問い合せる学生、教務課を通して質問状を提出してきた学生。いろいろです。今年はとくに多いように思います。で、ここで不思議なことにまったく点数が足りなくて、単位を出せなかった学生が質問に来ることが多いのです。授業にも全部でたし、レポートも期末試験もちゃんと受けた。なのになぜ?って、レポートや平常点はあくまでもプラス点であってなおかつ期末試験ができてなかったんだよって話なのですが…ちなみに近年は論述形式の設問だけではなく、穴埋め式の問題も半分出しています。その方が点数の説明がしやすいという事もありますが、実のところ、論述式の設問だけですと、例えノートやテキスト、プリントなどを持ち込み可にしても書けない学生が多くなってきたからというのが大きな理由でもあります。

いやはやいろんなことが難しい時代です。

 

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投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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