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2018年度東海大学史学会大会

歴史学科とか史学科といった学科を持っている大学ならばだいたい、歴史学会もしくは史学会などと呼ばれる組織を学内に持っていて、大学とは相対的に独自に活動しています。独自にというのは、会員制をとっていて、学科の先生や学生たちはもちろんのこと、学外の研究者でも会員になることが可能です。東京大学の史学会はとくに有名で、その研究雑誌『史学雑誌』に論文が掲載されることは、へたな学会誌に載るより難しいことですし、論文としての価値が高いことになります。ちなみにこの『史学雑誌』と歴史学研究会の『歴史学研究』、日本史研究会の『日本史研究』、歴史科学協議会の『歴史評論』の4つに論文が載ることを、日本史研究者にとっての「グランドスラム」と言うとか言わないとか…(^_^;)

さて、わが東海大学の文学部歴史学科は日本史専攻、東洋史専攻、西洋史専攻、考古学専攻の4専攻に分かれていて、「東海大学史学会」という学会を組織していて、『東海史学』という学会誌を毎年1回刊行しています。こうした学会では、研究会や卒業論文発表会の他に、毎年1回大会を開きます。大会は総会と研究発表会と記念講演会の3本立てとなっています。あ、終わった後に記念講演会の講演者を囲んで懇親会も開かれます。なお、東洋史専攻については、本学規程の「3年間定員割れが続いたらその学科、専攻は閉鎖する」に合致してしまったため、本年度から募集停止になり、新しく創部された社会文化学部のアジア文明学科に吸収されてしまいました。東海大学史学会としては、会員の面でも相当な痛手なのですこれが…。日本史と西洋史があって東洋史がないのはバランス的にもどうにかならないものかと思うのですが、世の流れには逆らえないようですね。大学はますます縮小していきます。

本日は、その史学会の大会当日でした。私は会計監査を担当していますので、総会に出席して、監査結果について報告しなければなりませんでした。研究会では、私の授業に出ていて、今、修士1年の渡邉奨太君が日本史の報告者でしたので、ちゃんと聞いてきました。渡邉君の研究は、老中水野忠邦による天保改革の後、鉄砲方を解任されて冷遇されていたという老中阿部正弘政権下の伊豆韮山代官江川英龍の動向を追ったものです。渡邉君、「冷遇はされていなかったんだ」ということを主張したいみたいですが、そこには踏み込まないで、というかそれは前提でいいから、そうした雌伏の時期に何をやっていたのか、それが再任用されるときにどのような活動に繋がっていったかという視点でやった方がいいかも…。

渡邉君の報告については、すでの兼平先生や神谷先生と一緒にやっている研究会、「東海大学日本史研究会」でも2度ほど報告してもらっていますので、よくわかっています。こういう席ではまた、違う先生や研究者、院生などから意見をもらったり、そう叩かれることで、論文の精度を高めていきます。渡邉君、質問の時間で結構、バサッとやられていました。それを活かすも活かさないもまさに自分次第ですね。それが学会報告というものです。さぁ~頑張って行きましょう!渡邉君!!

とりあえず、何とか基礎教養科目の採点も終わって無事に提出しましたので、次は「時代考証学会創立10周年記念論文集」に投稿する論文ですね。以前、このサイトでも紹介しましたが、劇作家北條秀司作の「信濃の一茶」を劇作家としての北條と、主演の緒形拳という両者からみていくことで、歴史学と演劇における人物造形の違いについて考えてみたいと思っています。締切りも近いので、あ、私の方が頑張らなければなりませんね!貧乏暇なし(^_^;)小学校の時の4年生から6年生までの担任先生はよく「遠慮と貧乏はするな」と言っていましたが、なかなか難しいですねぇ。

 

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投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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