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八月納涼歌舞伎 by 歌舞伎座

順番が前後してしまいますが、昨日は、銀座の歌舞伎座に八月納涼歌舞伎を観に行きました。先月の29日にも鎌倉芸術館に中村芝翫さん親子の襲名披露を観に行ったばっかりで、ここのところ、プチ歌舞伎づいております。そう言えば、前回も直前に台風が来ていて、ぶつかるのではないかと心配したのですが、そこはそれ、晴れ男の面目躍如です(^_^)

鑑賞したのは、第1部、お目当ては、北條秀司作「花魁草」(おいらんそう)です。北條作品としては初見でした。主演は扇雀さんと獅童さん。安政の江戸大地震から逃げてきて偶然出会った、吉原の花魁お蝶と大部屋の歌舞伎役者幸太郎は、ひょんことから二人で下野の栃木宿で暮らすことになります。ネタバレになりますが、役者としての将来を思ったお蝶は、ここで惚れた幸太郎と泣く泣く別れを選択します。6年後、人気役者となった幸太郎が栃木宿に歌舞伎の興行に来るのですが…。何だか、北條作の「末摘花」を思い出してしまいました。初めて観た北條歌舞伎で、源氏物語の末摘花を勘三郎さん(当時、勘九郎さん)が、光源氏を玉三郎さんが演じていらっしゃいました。北條作品らしい、人情の機微を謳った作品です。

2本目は、「龍虎」。幸四郎さんと息子の染五郎さんがそれぞれ龍と虎に扮して舞います。中堅どころとなって円熟味が出てきた幸四郎さんと、初々しい若虎の染五郎さんの親子共演。隈取りも衣裳も鮮やかに楽しめました。

3本目は、小佐田定雄作の新作歌舞伎「心中月夜星野屋」(しんじゅうつきよのほしのや)でした。納涼歌舞伎には幽霊物がつきもので、それも笑いのある幽霊物が多いのですが、この演目がそれに当ります。芸者のおたか(七之助)は、星野屋照蔵(中車)に囲われながら、母のお銀(獅童)と一緒に暮らしています。そんな中、照蔵は、相場で失敗して財産を無くしてしまったと言って、おたかに心中をしようと持ちかけます。で、吾妻橋から飛び降りることを約束させた照蔵ですが、おたかは母お銀とはかって、当然のごとく、裏切ります。とはいえ、これは後添えとして適任かどうか、妾などを仲立ちする藤助(亀蔵)との策略なのですが…。ここで一人吾妻橋から飛び込んだと思っていた照蔵が幽霊になって…。ネタバレが過ぎますので、ここら辺で(^_-)ま、男と女の化かし合い、抱腹絶倒の江戸物です。そうしてみると、失礼ですが、北條作の「狐狸狐狸ばなし」(こりこりばなし)は、よくできているなぁ~と感心した次第です。

中車さん、そう香川照之さんは、正直なところ、所作などは歌舞伎としてはまだまだかなと思うのですが、演技力はさすがです。それを越えて楽しませてくれる力量には感心させられました。しかもアドリブ入り。ちなみに獅童さんは、吾妻橋を蔵前橋と間違えられて、それも現場の楽しみの1つですね。

終わって、松竹大谷図書館にも行ってみました。新装になって行ったことがありませんでしたから。ここで司書の方に検索の方法をお伺いして、実際、北條秀司作品について調べてみました。ここで再発見!北條資料を整理する際に立ち上げた研究会「湘南近代文化研究会」で作成した北條先生の作品目録…。はて、これって、私、どうしたっけ…。そもそもこの本の存在すら忘れていました。あらら…。

付けたり、幕間のお弁当は、三越で買った今半の焼肉弁当に、海鮮広島お好み焼きです。あ、歌舞伎座名物「めでたい焼き」もしっかりいただきました。紅白のお団子が入っているやつです(^_^)

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投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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