【史料学08】アーカイブ・ファイルボックスの素材(訂正)と特徴について


史資料を保存する容器としてのアーカイブ・ファイルボックスと、これを中心としたアーカイバル・ファイルボックスシステムについては、これまでも何度か紹介してきました。このblogではちょっと表現が変わっていたりしますが、これからは保存用のファイル型のボックスについては、このように「アーカイブ・ファイルボック」、そのシステム全体を「アーカイバル・ファイルボックスシステム」と統一して呼ぶことにしましょう。何せ言ったもん勝ちですから。TRCC東京修復保存センターの児島聡さんと相談しながら、試行錯誤を重ねながら制作しているものです。オリジナルではありますが、もちろん、まったく独創的なものではありません。「市場にあるものを利用しながら、新たな市場的ニーズを造り出していく」な〜んて、AppleのJobsみたい表現ですが…。

さて、このアーカイブ・ファイルボックスの素材について、私自身ちょっと勘違いしていたようで、児島さんから指摘を受けましたので、訂正しておきたいと思います。まとめての話は、昨年11月17日(木)のblog「【史料学05】アーカイバル・ファイルボックスシステム」のところで書いていますので、詳しくはそちらでみていただくとして、ここではこの構成についてちょっとおさらいです。

アーカイバル・ファイルボックスシステムは、以下の4つの容器で構成されています。(1)L字型史料保存用封筒、(2)封筒整理用フォルダー、(3)アーカイブ・ファイルボックス、(4)アーカイブ・ファイルボックス収納箱の4点です。

(1)L字型史料保存用封筒

(2)封筒整理用フォルダー

(3)アーカイブ・ファイルボックス

(4)アーカイブ・ファイルボックス収納箱

(1)L 型史料保存用封筒や(3)アーカイブ・ファイルボックスには、史料目録やアーカイブ・ファイルボックス整理用のラベルが貼ってありますが、これはデータベースソフト「桐」を使って作成しているものです。詳しくはまたお話ししようと思っています。

さて、このうち、(3)アーカイブズ・ファイルボックスと(4)アーカイブ・ファイルボックス収納箱の素材については、どうも私自身が専門的な知識に欠けていたようで、児島さんの言葉を借りて、以下のように訂正したいと思います。たいへん失礼しました。先にもとの文章を掲載しておきます。

《誤》

アーカイブ・ファイルボックスの内ライナーには添加物の少ないピュアな紙を使用しているとのことです。Ph値は6.9です。これはなんと!ピザの宅配で用いられる食品用の段ボール紙だそうで、人間が食べるものに触れても問題のない紙ですから、史料=古文書にもよいのは当然!なお、接着剤も同様にピザの宅配用段ボール紙に用いられるもので、これまた安全性に問題はないとのことでした。

また、アーカイブ・ファイルボックスの外ライナーには、アブラヤシの混入紙が使われています。アブラヤシは、パーム油の原料で、1房あたり40〜50kgになる果実ができるそうです。この果実を搾り取った後の絞りかす、これをヤシガサというのですが、この処理がなかなか容易ではなく、問題なのです。もちろん、ヤシガサ自体は自然素材ですから、何の問題もありません。いずれにせよ、アーカイブ・ファイルボックスの素材は、この絞りかす=ヤシガサを利用するので環境にもよいというわけです。いわゆるエコ素材ですね。TRCC東京修復保存センターでは、他に笹を混入したファイルボックスも作製してもらいましたが、アブラヤシにせよ、笹にせよ、とにかく軽いのが特徴ですね。

《正》

■「アーカイブ・ファイルボックス」の外ライナーと内ライナーについて

ボックスの外側も内側も、ライナーは笹の混入紙です。その分添加物の少ないピュアな紙が使われており、pH値は6.9となっています。笹のエキスを健康食品に使い、その搾りかすを利用しています。リサイクル可能な食品向けの段ボール紙で、人間が食べるものに触れても問題のないものです。また、接着剤も同様にピザの宅配用段ボール紙に用いられるもので、これまた安全性に問題はありません。

■「アーカイブ・ファイルボックス収納箱」

外ライナーにはアブラヤシの混入紙が使われており、pHは「中性域」です。「中性域」は、pH6.0からpH8.0の間の領域になります。笹やアブラヤシなどの天然素材は天候や加工の条件などによって数値に振り幅があって、明示するというにはちょっと難しいこともあるようです。ですから、検査の専門家によると、このように「中性域」と表現した方が妥当だろうということでした。もちろん、中性紙としての品質に問題はありません。また、 内ライナーは酸の発生がマイルドな「無サイズ紙」という紙です(無サイズ紙は、吸い取り紙や濾紙などのようにサイジング(洋紙の製造工程において、パルプにコロラド物質を加えて紙繊維の表面や隙間を覆うことで、液体やインクが滲まないようにする処理のこと)の必要がない用途の紙で、pHは一般的に5~7といわれています)

このサイトの「史料学研究」のコーナーも書き直さなければなりませんね。いずれにしても、サイト全体、近々大きなリニューアルが必要です。

アーカイブ・ファイルボックスについて児島さんは、「軽量ですが、水や湿気に対して強いダンボール製の容器です。文化財レベル級の史資料の長期保存ではなく、大量にある情報資料の中期保存のための容器を狙いとして開発しています。文具の延長線上の、保存を考慮したファイリング用品であるとお考え下さい」というように表現されていました。もちろん、保存に必要な条件はできる限り考慮されています。

私自身はアーカイバル・ファイルボックスシステムについて、「本来は平積みするような史資料を縦置きにしても痛めることがないように、効率的に保存・管理できること」を製作上の基本的なコンセプトにして、同時に「扱いやすく、史資料にアクセスしやすいこと」を条件として考えています。児島さんの言う「情報史料」には、ですから私的には「大量にある近世の古文書から近現代の書類、簿冊などの紙資料を含むもの」ということになります。その意味で「史資料用ファイリング用品」と言ったらいいでしょうか。まぁ、それでも用途は限られてくると思いますが、何事も適材適所ということですね。

なお、TRCCではさらにこのアーカイブ・ファイルボックスや収納箱の改良版を考案中みたいですので、まだまだ進化するのではないでしょうか。ぜひ、期待したいものです!私個人だけでは限界がありますから、もし、使ってみた方がいたら、もっと基本的なデータが欲しいですから、長所や短所など聞かせてもらいたいものです。

 

馬場弘臣 のプロフィール写真
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