新・電子書籍時代の史料翻刻(1) siriとMFPとespur


いつの間にか桜の花も名残りとなり、新緑の季節に向かって速度を増してきたかのようです。年度末には、電子書籍をめぐってもちょっと気になる動きがありましたので、先のblogでも触れましたように、「電子書籍時代の史料翻刻 」も「新・電子書籍時代の史料翻刻」として再開したいと思います。既報の通り、一太郎2012承では、EPUB3.0に対応した電子書籍が作成できるようになりましたから、今回は実践報告ができればと思っています。今日はその前提となるいくつかの話です。

◎iOS5.1とsiri

去る3月7日、AppleがiOSのバージョンアップ版、5.1をリリースしました。ここでの目玉の一つは、改めて言うまでもなく、siriが日本語に対応したことでした。siriは一言で言えば、音声によるiPhoneの操作を可能にしたソフトです。翌3月8日にはダウンロードして使えるようになりました。β版ですから、例えば翌日の天気を聞いたり、タイマーや目覚ましをセットしたりといったような定型的な音声入力には比較的きちんと対応してくれるようです。でも、ちょっとイレギュラーなことを聞くと、例えば、「頑張ります」という言葉ですら、「理解できません」と応えてしまう始末…(^_^;)飲食店の情報なんかを聞いても「アメリカでしか対応してません」とこれまた応える始末…。どうやら現段階では、docomoのしゃべってコンシェルの方が優秀なようです。でも、応える内容についてはsiriの方が既知に飛んでいて、断然おもしろいような気がします。ただ、要はしゃべってコンシェルがどちらかというと説明者、案内者という趣なのに対して、siriは本気で「素敵な秘書」をめざしているかのようです。昔、Appleからスティーブ・ジョブズを追い出したことで有名なジョン・スカリー時代に構想された、ニュートンを思い出してしまいました。どっちにしても近未来はこの方向で進んでいくのでしょうね。

でも、ここで注目したかったことは、音声による対応ではなくて、音声による文字入力です。例えばメールを送ることもできますし、メモアプリを立ち上げてメモをとる時も、しゃべった言葉をそのまま文字にしてくれるのです。もちろんまだまだ正確にとは行きませんが、でも、言葉で文字を入力する!言葉の自動文字化!!これまでもいろいろと試みられてきたことですが、いよいよ身近なものとして動き出したのだと実感させられました。それは確かに入力デバイスの進化ですね。

◎多機能周辺機器 MFP

MFPとはMultifunction Peripheralの略、訳せば「多機能周辺装置」となりますが、早い話、プリンター複合機と呼ばれるものがこのカテゴリーの代表選手になります。プリンターにコピーにスキャナー、それにファックスがセットになったやつです。iOS5.1がリリースされた日、3月8日に我が家にRICOHのMFPであるimagio MP C1800がやってきました。実はこれ以前にEPSONのLP-M5500FZというMFPを使っていたのですが、7年目に入る前にちょっとというか、かなりおかしくなってしまいました。安い機種なのにこき使いましたからね。モニターをやるのですが、値段が違うとはいうものの、それにしてもさすがに最新機種は違います。プリントの速さはさておいても、カラーの発色、コピー機の機能、使い勝手、省電力等々やはり違いますね。何より費用の安い機種は連続して使用すると息切れを起こしてしまいます(^_^;まぁ〜仕方ないですね。でも、おかげさまで書斎がますます事務所みたいになりました。こんな感じです!

でも、ここで言いたいのは、印刷という旧来の手段での文字や画像などのアウトプットということについてです。早速、研究報告のレジュメや授業のプリントもカラー版で作成し始めていますが、何よりカラーで印刷することがどれだけ表現力として威力があるかということについては、『新横須賀市史』近世通史編の執筆でしみじみと思い知らされました。先のblogで書いたとおり、『新横須賀市史』の通史編は全編カラーなのです。やはり印刷物の美しさには限りないこだわりを感じます。文字組、レイアウト、バランス…そのどれでもが長い年月をかけて進化してきたものだからでしょうね。最近はワープロソフトやPDFファイルの一般的普及で、そうした印刷物としてのバランスの悪いものも目につくようになって、それは何だか悲しいことです。とくに縦組みの文化はやはり漢字圏の一つのアイデンティティなのでもあるのですから。そんな感傷も含めて、印刷という手段でのアウトプットを再認識した次第です。

◎電子書籍ビュワー espur

印刷機による印刷物が旧来のアウトプットだとすれば、電子書籍がこれからの新たなアウトプットの手段になっていくことはもう必然でしょう。これもいろんなフォーマットがあって、なかなか統一的にとはいかないようですが、私が注目したいのは、このblogでも何度か取り上げましたが、やはりEPUB3.0です。何よりオープンな規格で参入しやすいこと、一太郎2012承で簡単に作成できることが高得点なのですが、いかんせん、これを表示するビューワーがまだまだ不足しているようです。iPadやiPhoneに搭載されているiBookも2になってEPUB3.0に対応したはずなのですが、不思議なことに縦書きのビュワーには対応していないようです。これはあくまでも一太郎で作成したEPUB3.oで試しただけに過ぎないのですが、どうも難しいようです。いや、得てして外国のアプリというのは、縦書き・右綴じ表記に弱くて(ワープロソフトですが、Wordなんていまだかって縦書きは左から右へしかスクロールできないですよね)。青空文庫のiH文庫はそもそもまだEPUB3.0には対応していないようです。アプリではなくて専用端末になりますが、ソニーのリーダーもまだまだのような…。要は自分で作成した電子書籍を気楽にタブレットや専用端末で読むことについてはまだまだ一般的ではなく、今はまだPDFファイルの方が実用的なようです。もっとも、アプリによってはPDFファイルの縦書き表記も左スクロール・右綴じに対応していませんがね。Androidの端末についてもちょっと試してみましたが、状況的にはあまり変わらないようです。

こうした中で、Windows用のEPUB3.0に対応した電子書籍ビュワーとして、株式会社イーストからespurというアプリが7月6日付で公開されています。まだβ版ということですが、イーストのサイト窓の杜で無償でダウンロードできます。また、対応するOSはWindows7とvistaということですが、XPでも問題なく動きますよ!

言葉で文字を入力するsiri、旧来の手段ではあるけれども、個人による印刷物というアウトプット手段としてますます進化したMFP、そして電子書籍を読むことを可能としたespurという、それぞれデバイスとしての形式は異なるけれども、今回はいずれも電子書籍にまつわる動向として、個人的に気になる3つについての報告でした。EPUB3.0やespurついては、電子書籍はもとより、電子史料の作成についても実際に作成しながらレポートしていきたいと思います。

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カテゴリー: プロジェクト研究, 史料学研究 パーマリンク

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