新・電子書籍時代の史料翻刻(2) kobo Touch


楽天から電子書籍リーダーのkobo Touchが届きました。16階調グレースケール表示6インチ電子ペーパーE Ink Pearl」を使用、185g…と、詳しいスペックはこちらのサイトででもみていただくとして、私は販売が告知されたところで速攻で予約を入れていました。7,980円という価格も魅力でした。一説では5,000円くらいで売り出すという話もあったので、それからすればちょっと高めかなと思わないでもありませんが、ソニーの電子書籍リーダーのReaderであれば、6インチの製品は倍くらいの値段になりますから、それらに比べればずいぶん安いです!その分、ソニーのReaderの方が高級感?!がありますが、電子書籍専門のリーダーは、何より価格です。軽くて、安くて、使いやすいこと、それがすべてであると言っても過言ではありません。ちょっと安っぽい感じは否めないものの、使っていく上で何の問題もありません。それに、値段について一言付け加えれば、楽天のサイトで購入した場合、ランク会員に応じて2,000〜3,000円分が楽天のポイントとして加算されますから、実質上、5,000〜6,000円とみることもできます。私は本体が白で、裏面がブルーのものを選びました。まぁ、Koboというネーミングは、何か四コママンガのコボちゃんを想像してしまうのですが…(^_^;)

もっとも、私が速攻で購入を決意したもっとも大きな要因は、電子書籍のフォーマットとしてEPUB3.0が採用されているからです。そもそもKobo自体はカナダの会社を楽天が買収したもので、はじめから多国言語によるグローバル展開をめざしていたのでした。電子書籍と言えば、AmazonのKindleが何かと話題になりますが、アメリカを除いてワールドワイドでみれば、Koboのシェアはかなりのものなのだそうです。いずれにしても、楽天の三木谷社長は、Koboと電子書籍を販売していくにあたって、電子書籍の標準化団体であるIDPF(International Digital Publishing Forum 国際電子出版フォーラム)が策定したEPUB3.0を標準のフォーマットにすることの意義を強調されていましたが、私も大賛成です。このblogでも何度か触れましたように、歴史史料を電子書籍として翻刻していくことの可能性を探ろうというのが、現在の私のプロジェクト研究であり、このサイトを開設した目的でもあります。そのフォーマットとしてはEPUB3.0を念頭に置いていました。ですから、Koboを購入したのは、正直なところ、これで電子書籍を購入して読むためではなく、電子書籍版として翻刻した史料の表示状況を確認するためでした。もちろん、Koboに入れておけば、いつでも読むことができます。これも既報の通り、ワープロソフトの一太郎承でEPUB3.0のファイルを作成できますから、実際にリーダーで試せるわけです。PC版であれば、これも既報の通り、株式会社イーストから無償で配布されている閲覧ソフトespurで読むことができます。

早速ですが、『新横須賀市史』近世通史編における私の執筆部分から第12章 海防の最前線の第2節 文政期大名駐屯体制の成立と第3節 文政期の浦賀援兵体制の一部を、一太郎承でEPUB3.0に変換して、Koboに読み込ませてみました。ルビもたくさんつけていますので、格好の材料です。KoboにはmicroSDを使って読み込ませます。PC側で作成したEPUB3.0のファイルをmicroSDにコピーして、左側面にmicroSD用の差し込み口がありますので、ここの差し込みます。ちなみに当然のことながら、PDFファイルにも対応していますので、同じようにコピーしてmicroSDを使えば、そのまま表示させることができます。

 

 

 

 

 

 

 

さて、実際に、EPUB3.0のファイルを表示させてみます。結論から言えば、基本的には一太郎承で作成したEPUB3.0も何の問題もなく表示させることができました。しかもKonoには、印刷物でよく使われるモリサワの明朝体とゴシック体のフォントが装備されていますから、E Ink Pearlという電子ペーパー(電子インク)がとても見やすいこともあって、紙の書籍と遜色のない表示です。明朝体とゴシック体で表示させてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

PDFファイルと違って、電子書籍の一番のメリットは、文字を拡大・縮小してもレイアウトを維持してくれることです。下は左側が最大の文字で、右側が最小の文字で表示させたもので、その下の段は、左側がちょうど中間の文字サイズで表示したもの、右側それより少し大きくして表示させたものです。表示はこの上の上の段の左側の画像にあるように、スライダーをスライドさせて文字のサイズを変えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

iPhoneで撮影したものですので、画像があまりよくないかもしれませんが、ご勘弁下さい。それにしてもiCloudが使えるようになってから、iPhoneで撮影した画像をそのまま自動的にiPhotoのフォトストリームに表示してくれるようになりましたから、こうしてblogに写真を挿入するのもとってもとっても楽になりました。いや〜クラウドの時代は本当に便利です。DropBoxsもそれはそれは重宝しています。

おっと、横道にそれましたね。上の画像を見ていただけたらわかりますように、日本語特有の表示機能の3点セット!(1)縦書き(2)ルビ(3)禁則処理についてはもう完璧ですね。一太郎の文書をEPUB3.0に変換したものでもきちんと表示してくれます。iPadのiBooksでは、同じEPUB3.0のファイルが表示されませんもの…。でも、いくつか気になった点もありました。

一つは、一太郎で文書を作成する際に改行して行間を空けた部分や下寄せ(横書きであれば右寄せ)の機能を使って、文字を下の方に配置した場合、改行や下寄せがキャンセルになっていることです。当然、行間は詰まってしまいますし、下に配置したはずの文字が上の方に来てしまいます。史料翻刻にとっては、これってちょっと致命的です。とくに下寄せが難しかったら、差出人(発給者)の連名などを下の方に配置したくてもできなくってしまいます。では、その分、文字数にあわせてスペースを入れればいいじゃないかと思うかもしれませんが、ことはそう単純ではありません。電子書籍で文字を拡大・縮小すれば、当然1行の文字数が変わってきます。下の方に配置したいからといって、例えば20文字分スペースを入れて名前を書けば、文字を大きくしたときに名前が次の行に送られてしまうからです。つまり、レイアウトそのものが崩れてしまうのですね。

それから、二つ目として、これは意外でしたが、通常、縦書きの文章でページをめくる場合、画面の左側をタッチするか、右から左に向かって画面をめくる動作をするのですが(フリックといいます)、一太郎版EPUB3.0ファイルをめくる場合には、画面の右側をタッチしないとめくれないのです。もちろん、前のページに戻りたければ、左側をタッチすることになります。はじめからkobo Touchに内蔵されている青空文庫の書籍は、通常通り左側タッチまたは左めくりなのです。これも操作体系としてはちょっと問題ありですね。

そもそもの問題として、E Inkは画面をめくる時に文字が点滅するようにして画面を書き換えるのですが、やはりそれがちょっとうざったい感じがしますね。一昨年のソニーのReaderに比べればずいぶんと改善されたと思うのですが…。それからiPadなんかを使っていて、あんな風に動くもんだと思うとちょっとイラッとくるかもしれませんね。動き全体はもさっとしていて、でも、これは電子書籍のリーダーで、読むことが主体ですから、そういうものだと思っておかなければならないでしょう。それから、Wi-Fiのつながりも不安定ですね。一度設定して、その時はすぐにつながったのですが、電源オフ、ないしはスリープモードにして、そこから復帰させるとなかなかつながってくれません。つなぎ直そうとしても、他のWi-Fiにつなぎ替えようとしてもうまくできません。書籍の購入などは、PCを主体にした方がいいでしょうね。楽天でもそちらの方を進めているようですし。きっとアップデートでこうした点も改善していってくれる!と期待したいですね。

最後にkobo Touchでブラウザーを立ち上げて、YAHOO!を立ち上げたところをご覧に入れます。E Inkのモノクロ画面にYAHOO!の光景というのは、なかなか不思議な感じがしておもしろいです。

いずれにしても、これから史料の翻刻はもちろんのこと、通常の文章でもいろいろと試してみて、またリポートします。歴史学にとっての電子書籍の可能性追求!です!!

馬場弘臣 のプロフィール写真
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新・電子書籍時代の史料翻刻(2) kobo Touch への3件のフィードバック

  1. SEVENEYES のコメント:

    kobo TouchにおけるEPUB3.0の表示について、夏休みを使っていろいろ調べてみました。
    どうもレンダリングエンジンが特殊なようです。
    ファイルの拡張子で従来のEPUBのレンダリングエンジンとEPUB3.0対応レンダリングエンジンとを切り替えているみたいです。
    拡張子が単なる「.epub」ならEPUB3.0以前のEPUB、「.kepub.epub」ならEPUB3.0対応の表示になると思われます。アクティベーションの時に入る青空文庫を見ると「.kepub.epub」なので気にはなっていました。
    つまり、一太郎から出力したEPUB3.0のファイル拡張子を、「.epub」→「.kepub.epub」に書き換えることによって、一太郎で作成した文章表現に近くなります。
    この拡張子変更処理で、改行や下寄せの問題は解決できそうです。但し、段組などをしていると、レイアウトが崩れるようです。お試しください。
    外字や異体字、合字などレイアウト以外でも問題山積みの歴史学史料の電子書籍化ですが、少しは可能性が広がりましたでしょうか?

    • 馬場弘臣 のプロフィール写真 馬場弘臣 のコメント:

      SEVENEYES様

      お世話になります。貴重な情報をどうもありがとうございました。「.epub」を「.kepub.epub」に変更するのですね、なるほど…。そうすれば、一太郎の文章表現に近くなるのですね。ついでにAppleのiBookでも読めるようになるかもという期待もしてしまいます。段組はどのみち電子書籍の形式には向かないと思っています。プロジェクト研究の閑馬小学校関係史料も冊子として翻刻する場合は2段組で、電子書籍では1段組を考えています。ちょっと手間ですが、その方が現実的でしょう。
      まずはご教示いただいた形式で作成してみて試してみます。その結果はまた、blogで報告させてもらいますね。重ねてありがとうございました。  馬場弘臣

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