ようやくにして、『近代教育史叢書』の1と2を刊行することができました。もうこれはこのblogでも何度でも紹介していますが、私が所属する東海大学教育研究所における2010年度~2012年度個別プロジェクト研究「近代村落小学校の設立に関する基礎的研究」の成果で、明治期の栃木県安蘇郡閑馬村(現・佐野市)の閑馬小学校(現存しています)の資料を翻刻した資料集と資料目録からなっています。
左が『近代教育史叢書1 明治期の村落小学校関係資料集―栃木県安蘇郡閑馬小学校―』(201頁)で、右が『近代教育史叢書2 栃木県安蘇郡閑馬村・閑馬小学校資料目録』(66頁)です。『近代教育史叢書2』はフルカラー版です!!
せっかくですから、目次くらいは紹介しますね。まずは『近代資料叢書1』の目次です。
翻刻にあたって 馬場 弘臣 Ⅰ
凡 例
【資料翻刻編】
第一部 小学校行政関係通達留 1
1 明治七年九月より 師道館御用留 1/ 2 明治七年一二月より 閑馬学舎御布令写書 10/ 3 明治八年一二月より 閑馬学舎関係通達留 25/ 4 明治九年七月より 閑馬学校関係通達留 43/ 5 明治九年一二月より 閑馬学校関係布達留 50/ 6 明治一〇年五月 閑馬学校関係通達留 70/ 7 明治一〇年一一月より 閑馬小学校関係通知留 75/ 8 明治一〇年一一月 閑馬小学校関係通達留 81/ 9 明治一〇年一一月 閑馬小学校関係通達留 86/ 10 明治一二年四月 閑馬小学校関係通達留 92/ 11 明治一二年四月 閑馬小学校関係通達留 93
第二部 閑馬小学校関係資料 95
12 明治七年一二月 師道館小学給料ならびに就学・不学取調書 95/ 13 明治八年八月 閑馬学舎月末出納表控 95/ 14 明治八年一二月 閑馬学舎小学統計ケ条取調書 100/ 15 明治九年一月 閑馬学舎出納表 102/ 16 明治九年一月 閑馬学舎概覧表控 103/ 17 明治九年五月 閑馬学舎小学舎長取調書 128/ 18 明治九年九月 小学正則手続 128/ 19 明治九年一二月 閑馬学舎小学統計取調書 142/ 20 (明治九年一二月) 閑馬学舎小学統計取調書 143/ 21 明治一〇年一〇月 進級試験賄料受取証 144/ 22 明治一一年五月 病気につき小学校訓導休暇願い 145/ 23 明治一一年六月 藤掛兼蔵退校願い 145/ 24 明治一二年二月 安蘇郡長小学校巡視につき通知 145/ 25 明治一三年一二月 尾花はつの退校願い 146/ 26 (明治一三年) 閑馬学校諸費につき閑馬村会議案 146/ 27 (明治一三年) 閑馬学校取調書 147/ 28 明治一四年一月 閑馬学校職員旅費仕上げ簿 149/ 29 明治一五年一月 訓導森川小次郎の給料受取証 150/ 30 明治一六年六月 服装等規制につき文部省普通学務局長通牒 150/ 31 明治一六年六月 職員品行の件につき栃木県令通達綴 151/ 32 明治一六年一二月 木村まつの退校願い 152/ 33 明治一七年五月 森川小次郎の寄附名簿取消し届 152/ 34 明治一七年六月より 閑馬学校入校請書綴 153/ 35 明治一七年一一月 小林ツねの退校願い 154/ 36 明治一七年一二月 小林万造の退校願い 154/ 37 明治一七年一二月 山田留吉の退校願い 155
38 明治一八年一月 松村マツの入校証 155/ 39 明治一八年三月 木村とめの退校届 156/ 40 明治一八年三月 桑子幸三郎の退校届 156/ 41 明治一八年四月 長浜忠三郎の退校願い 156/ 42 明治一八年六月 栗原タマの退校届 157/ 43 明治二〇年一二月 安蘇郡第二高等小学区聯合会日誌 157/ 44 明治二一年一二月 第二高等小学校教育費支出予算書 172/ 45 明治二二年度 安蘇郡第一一番学区尋常閑馬学校収支予算案文 175/ 46 明治二二年度 安蘇郡第二高等小学校経費予算議案 176
【解説・考察編】
明治初期教育制度の展開と閑馬小学校 神谷 大介 183
明治期の閑馬小学校関係資料について 馬場 弘臣 193
関係者一覧 201
ここでは、第一部に閑馬小学校宛に出された通達や通知、布令などを集めた「御用留」「布令留」「通達留」の類をまとめて掲載し(11点)、第二部ではそれ以外の資料を一括して収録(点)しています。第一部については神谷大介君(東海大学文学部非常勤講師)が、第二部については私が解説を書いています。
次に『近代教育史叢書2』の目次です。
【資料目録編】
栃木県安蘇郡閑馬村・閑馬小学校資料目録 馬場 弘臣 2
栃木県安蘇郡閑馬村・閑馬小学校資料目録 凡例 2/ 栃木県安蘇郡閑馬村・閑馬小学校資料目録 5
閑馬小学校「通達留」細目録 神谷 大介 16
閑馬小学校「通達留」細目録 凡例 16/ 閑馬小学校「通達留」細目録 17
【解説・考察編】
栃木県安蘇郡閑馬村文書と明治期の閑馬小学校関係資料について 馬場 弘臣 28
1.閑馬村文書と個別プロジェクト研究計画 28/ 2.閑馬村文書の資料整理と史料管理学演習 30/ 3.閑馬村と閑馬小学校に関する資料の特徴について 34/ 4.本書の構成について 36
ウェブサイトと史資料目録検索システムの構築 目七 哲史 39
はじめに 39/ 1.ウェブサイトについて 40/ 1-1 設計思想とサイト概要 40/ 1-2 コンテンツの内容 42/ 1-3 現在までのアクセス状況 44/ 1-4 今後の計画 46/ 2.史資料目録検索システムについて 47/ 2-1 検索システムの開発方針 47/ 2-2 検索システムの機能と特色 49/ 2-3 今後の課題と計画 52/ おわりに 53
明治5年の「学制」にかかわった人たち 塚越 俊志 54
はじめに 54
1.「学制」にかかわった人たち 54
大木喬任 岩佐 純 辻 新次 箕作麟祥 内田正雄 瓜生 寅
河津祐之 木村正辞 長 熒 西潟 訥 長谷川泰 織田尚種
杉山孝敏
2.「学制」の研究に関連して 61
むすびに 62
関係者一覧 66
こちらでは閑馬村の資料目録と、「通達留」の細目録の他に、私が資料整理の全体にわたって解説を書きました。また、目七哲史君(東海大学学園史資料センター)がこのWebサイトの史資料目録検索システムについてまとめてくれました。さらに塚越俊志君(神奈川県立横浜翠嵐高校非常勤講師)が、明治5年(1872)の「学制」制定に関わった人物についてまとめてくれました。これは「学制」関係者の人物辞典として貴重な論考だと思います。
なお、資料編の原文書(げんもんじょ)校正は椿田卓士君(学園史資料センター)、本文の校正は大学院生の菊地悠介君、全体の構成および校正のとりまとめと校閲は徳原彩恵さん(学園史資料センター)にやっていただきました。皆さまにはこの場をお借りしまして感謝申し上げます。
これから関係機関や関係者に配布しますが、明治期の初等教育、教育史に興味のある方にも配布したいと思っています。希望者はこのサイトにご連絡いただければと思います。