《報告》関東近世史研究会9月例会「関東近世史研究の新展開」が開催されました。


既報の通り、昨日、9月27日の土曜日、法政大学市ヶ谷キャンパスで関東近世史研究会9月例会「関東近世史研究の新展開」が開催されましたので、報告申し上げます!各報告者の最終的な報告タイトルは以下のようになりました。

(1)吉岡孝(國學院大學)「八王子千人同心自治論-八王子千人同心株売買証文を中心に-」

(2)斉藤司(横浜市立博物館)「近世後期における地域編成-近世前期の視点から-」

(3)馬場弘臣(東海大学)「文久期社会変革論-武力・暴力・身分-」

(4)大石学(東京学芸大学)「近世首都論-将軍・大名と江戸藩邸-」

(5)白川部達夫(東洋大学)「世直しと地域市場-幕末維新の基礎構造-」

まったく変わっていないのは私だけでした。先にも言いましたように、私の報告は、2010年の6月例会で報告したものを焼き直しただけですからね。

吉岡さんの報告では、日本史研究の脱亜的状況への指摘が印象的でした。西洋史的な視点を前提にするのではなく、東アジア諸国との共通性にまずは注目すべきで、小農社会・朱子学・社会的結合が共通のキーワードとなるのだということでした。斉藤さんの報告では、斉藤さんが長年研究してこられた、武蔵国の「領」の問題を中心に、さまざまな組合村との「複層的」な性格について指摘され、地域編成や地域結合、もっと言えば、地域史の問題について柔軟な視点の必要性を提起されていました。大石さんは、「江戸首都論」を前面に押し出して、相変わらずやる気満々でした。同時に「関東」という「地域史」の問題と、「近世」という「時代史」的な問題のクロスするところにある、「関東近世史研究会」を全国的視野、もっと言えば世界的視野でどうとらえるかという問題提起がこれまた印象的でした。その意味では吉岡さんの報告と好対照です。白川部さんは、それこそライフワークである「世直し状況論」、とりわけ佐々木潤之介さんの「世直し状況論」克服の問題、ひいては徳川幕藩体制の崩壊と近代社会、市民社会成立の特質に対する飽くなき探求に感心されました。白川部さんは私の大学時代の、というよりそもそも研究者となっていく上での最大の恩師でもあります。それぞれの報告については、研究雑誌『関東近世史研究』で概要が収録される予定ですので、ぜひご参照ください。

それにしてもある意味、いい意味、皆さんの「変わっていなさ」が嬉しいやら、感心するやら、でした。いずれにしても、会場からもいろんな質問を受けたり、意見を聞いたり、それはその後の打ち上げの際もそうでしたが、その意味でも久しぶり大いに刺激を受けた一日でした。本当に楽しかった…。でも、実は、仕掛け人である落合さん帰り際に言った「それぞれが好きなことを精一杯やる。それでいいんですよね」という一言が一番印象的だったかもしれません。

関東近世史研究会の月例会の参加人数は、だいたい常任委員を含めて20名ほどなのですが、今回は80名を超えていたとか。大盛況でしたね。10月26日(日)には年に一度の大会もあります。できるだけ多くの研究者に参加して欲しいものです。ということで、昨日の写真をアップしておきます。報告者の皆さんとはすでに30年近くのおつきあい。さすがに年輪の重さは感じますねぇ…(^_^;)

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馬場弘臣 のプロフィール写真
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