あぁ…古文書合宿!


2月の6日(金)と7日(土)は1泊2日の日程で、古文書合宿を開催しました。古文書合宿というのは、文字通り、古文書の読み方、読解を練習するための合宿です。古文書の対象は基本的に江戸時代の史料になります。主催者は、本学日本史専攻の神谷大介先生で、主催は「さがみ古文書研究会」です。さがみ古文書研究会は、2000年につくった古文書の勉強をする団体で、2000年代は主に厚木市郷土資料館から史料整理の委託を受けて活動をしていました。とはいえ、実働部隊は、東海大学歴史学科日本史専攻の学生たちと大学院生たちで勉強しようという会でした。

それにしても古文書合宿自体が久しぶりでした。江戸時代史を本格的に研究しようと思えば、古文書の読解は欠かせません。そのためいろんな大学で、先生が中心となって史料の調査や整理、読解を勉強するゼミやグループがあって、研鑽を重ねていくことになります。熱意のある学生たちと合宿形式の勉強会を始めて開いたのが1997年のことでした。私は、この前年に日本史専攻の非常勤講師を務め始めましたから、まぁ務めてそうそうのことになります。当時は、神奈川県の小田原市史や真鶴町史、大磯町史、寒川町史、茨城県の龍ケ崎市史などの編さん事業に関わっていましたから、それなりにノウハウの蓄積がありました。

ただ、1997年、1998年と2年続けた後は、私が代々木キャンパスにあった「東海大学資料室(現、学園史資料センター)」に勤務し始めたこともあって、中断していました。これを再開したのが2002年で、それから2007年までは毎年の夏に古文書合宿を行なっていたのですが、2008年からは、諸般の事情で途切れていました。それを受け継いでくれたのが、神谷先生でした。実に8年ぶりの合宿です。ちなみに彼は、1997年の第1回目から参加していまして、まさに皆勤賞なのですが、それ以上に新たな息吹を与えてくれたことに感謝しています。私も教育研究所の専任になってからは、なかなか古文書合宿を主催する時間がとれませんでしたからね。

今回は、平塚にある「びわ青少年の家」という公共の施設で開催しました。湘南キャンパスのすぐ側、硬式野球部の練習場がある付近です。もっとも、合宿はだいたい公共の施設を利用させてもらうのが太です。やはり費用の関係が1番です。1番最初の1997年が神奈川県立藤野芸術の家、1998年が横浜にある上郷・森の家、2002年以降は、2004年に熱海にある潮音寺というお寺にお世話になった以外は、厚木市立の七沢自然ふれあいセンターを利用していました。びわ青少年の家も、この七沢自然ふれあいセンターと同じような施設です。それにしてものどかなところです(^_^;)

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当日は神谷先生と私の他、大学院生が3名、学生が10名の総勢15名の団体となりました。正直、学生の質もだんだんと変わってきて、「合宿」という形態がなかなか現在の学生にはなじまないのではないかなと思っていて、それが合宿を中断した理由の一つでもありました。ましてや公共の施設のような、ある種「不便」な生活を強いられる環境では…。でも、それは徒労でしたね。みんな楽しそうにやってくれました。

何はともあれ、着いた早々に入所式を済ませると、あとは古文書の勉強です。今回は、6日の昼の部では「柴田剛中」という幕府役人の日記を読むことから始めました。日記のコピーは大学院生の菊地君が準備してくれました。

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昼の部が終わった後は、多目的ホールで、バスケットボールにソフトバレーボールとレクレーションをし、お風呂に入って、夕飯のお弁当を食べて再び古文書の解読です。

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何だか、レクレーションの時間が一番張り切っていたような気がしないでもありませんが…。

さて、夜の部の古文書は、信濃国上伊那郡樋口村の松田家文書です。これは義父の実家の古文書をお借りしているもので、今回は原文書を読むというスタイルでやってみました。原文書を手に取ること自体、学生にとっては貴重な体験です。

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夜が明けると、朝飯の前に「散歩」という行事が組み込まれています。これもびわ少年の家では必須のスケジュールなのです。アスレチックなどもあって、本格的な「散歩」です。

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午前中は、昨日の松田家文書の続きをやり、お昼を挟んで、最後は横須賀は臼井家文書の解読です。私も神谷先生も横須賀市史の編さんに携わっていましたからね。あ、神谷先生はまだ編さん室の嘱託もされています。ついでながら、2日目には、横浜開港資料館に勤めている友人の平野正裕君も顔を出してくれました。

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ということで、さがみ古文書研究会の春合宿もつつがなく終わりました。また、夏にでも開催できればいいですね。最盛期には学生に院生、OBも含めて30名以上で合宿をしていましたので、できれば、もっとたくさんの学生たちに参加して欲しいものです。

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馬場弘臣 のプロフィール写真
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あぁ…古文書合宿! への3件のフィードバック

  1. Yama のコメント:

    ご無沙汰しております。Yamaです。
    本年4月より、横浜市の高等学校に異動になりました。
    先輩方の活躍をまぶしくみさせてもらっています。
    また、連絡させていただきます。

    • 馬場弘臣 のプロフィール写真 馬場弘臣 のコメント:

      こんばんは、馬場です。
      yama君、本当に久しぶりですね。たまには大学にも遊びに来てください。今は5号館(総合体育館の隣です)にいます。もちろん、建学祭の時でもいいですよ。お互い頑張りましょうね!

  2. ピンバック: 卒業おめでとう! | Professor's Tweet.NET

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