震災遺構、モニュメント、イベント その2…宮古から久慈へ


今日がいよいよ本番です。というより、行き帰りにほぼ1日を要しますから、基本的に視察は今日1日しかありません(^_^;)効率的に回りたいところですが、何せ三陸鉄道はだいたい1時間に1本の運行です。今回の視察では何より田老地区を見ておきたいと思っていましたから、ここがメインになります。その他にも震災メモリアルパーク中の浜と駅舎で唯一崩壊してしまい、再建されたという鳥越駅舎を見ておこうかと思っています。夜にはまたレポートしたいと思っております。

◎三陸鉄道宮古駅

さて、いよいよ宮古駅を出発です。時間は午前9時18分。その前は8時になりますから、こんなところでしょう。

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それにしても運賃が高いですね(^_^;)まずは一の渡駅に行って、それから田老駅、島越駅と行く予定です。宮古駅を9時18分に出発して、一の渡駅に着くのが9時30分。次の電車が11時19分で田老駅に11時33分。田老駅は13時34分発で島越駅に13時58分。島越駅を15時51分発、久慈駅に到着するのが16時46分の予定です。

そんなに時間を潰せるのかしらと思っていたら、とんでもない。忙しいこと忙しいこと。写真も撮りまくりで、580枚ほど撮りました。本日の報告は写真だらけになりそうです。ご容赦ください。

◎一の渡駅―震災メモリアルパーク中の浜

一の渡駅で見学したかったのは、元キャンプ場だった場所を震災のメモリアルパークにしたという「震災メモリアルパーク中の浜」です。中の浜までは普通に歩いて40分ほどかかります。往復で80分。1時間49分滞在時間があると言っても徒歩ですから急がなければなりません。だけど、いろいろと途中で目を引くところが多かったものですから、最後は青息吐息で駆け込みました。しかも海岸は低い場所にあると決まっているから、帰りは登りです。

一の渡駅は島駅舎で、唯一2台の電車が並ぶ風景を見ることができました。

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一の渡駅を降りてまず目を引いたのは大きな採石場です。

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ひっきりなしにダンプカーが行き来します採石場ですが、山の上の土も取っているようなので、海岸部のかさ上げにも使われているのではないでしょうか。交通整理をしているおじさんに聞いてみたのですが、「わかんねぇ」と言われてしまいました。

さらに海岸部へと足を進め、集落を過ぎたところで、こんな風景が目に飛び込んできました。

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この堤防は、左下の集落を右下の美しい海から守るためです。高い防潮堤です。感情的に言わせていただければ、海はこんなに静かなのにと思わずにいられません。

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中の浜の海も静かで美しいです。入江になっていて、夏は最高のキャンプ場だったことでしょう。

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順番に行きましょう。まずは「震災メモリアルパーク中の浜」の駐車場入り口です。ちょっと飛んでしまいますが、7枚目一番下左側の展望台から撮った写真が2枚目の写真です。この中の左側の建物がキャンプ場だった当時のトイレの遺構。下の3列に並んでいるのが炊事場の跡です。それぞれを近くで撮りましたので、2枚ずつアップします。展望台からは海も見えますが、先にも述べたとおり、ここが格好のキャンプ場だったことが理解できます。ここにはトイレと炊事場が震災遺構なっているわけです。ついでながら、4枚目の写真―2段目の左上の方に青い札があるのが見えますでしょうか。津波はこの高さまで来たとのことです。

◎田老駅―スーパー防潮堤

次は田老地区です。今回の視察では第1の視察希望でした。でも、かなりかさ上げや整備が進んでいて、はじめはよくわかりませんでした。

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まず目に飛び込んできたのは、巨大な太陽光パネルです。そう言えば、館山に行ったときも、平地を利用して太陽光パネルがあちらこちらに設置してありました。3枚目―2段目の左は完成したばかりの復興住宅です。その反対側にはこんなプレハブのお店がありました。田老ではお昼になったのですが、どうやらご飯は食べられそうにありませんでしたので、ここでパンを買って、防潮堤の上で食べました。5枚目―三段目左は役場で、6枚目―右は斜面に並ぶお墓とお寺です。お店の方の話ではここまで津波が来たそうです。

さて、田老のスーパー堤防―防潮堤は、「万里の長城」とも言われていて。第1から第3防潮堤まであります。実は今は第3防潮堤だけが補修を加えたうえで残っています。はじめにこの第3防潮堤を見上げて、上に登ったばかりでは、思ったより低いなと感じたものでした。でも、地元のガイドさんの話では、堤防の両面でかさ上げが行われいるとのことでした。ここからは順番に見ていきましょう。

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第3防潮堤です。上に登ってみました。当日は、何だか地元のガイドさんが案内するということで、テレビの中継のようなものをやっていましたので、撮らせていただきました。4枚目―2段目右で、だいたいの防潮堤の高さがわかっていただけると思います。これもかさ上げされた後なのです。それで、3枚目―2段目右の青い壁が3つの防潮堤が重なった場所で、ここから右に第2防潮堤、左に第3防潮堤が連なっています。5枚目と6枚目の写真は、第3防潮堤の上から漁港方面をみたところです。

そこで第1防潮堤です。これはまだ壊れたままです。

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先ほどの3防潮堤結束点から右に延びた堤防が途中で壊れたままなのが理解していただけるかと思います。4枚目―2段目右は、第1防潮堤にあった水門の跡です。また、3枚目―2段目左でだいたいの高さを想像していただけるかなと思います。

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第2防潮堤です。このまま第3防潮堤まで延びているのですが、残された門の跡と、堤防の断面図が津波のすさまじさを物語っています。第3防潮堤は補修されて繋がっているのですが、先に述べたとおり、第1と第2の防潮堤は、津波の被害の痕跡を見事なまでにこのしています。ただ、これは震災遺構となるのかどうか…。また、訪れて確認したいものです。ここから漁港に向ってみました。

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海はここも静かです。これも(2枚目)も震災遺構なのでしょうか?港に向っては、たくさんの水産加工作業用のプレハブが並んでいました。ちゃんと作業も行われています。作業場のおばちゃんに声をかけてみました。今日は作業ではなく、自宅用のワカメを乾していたとのこと。今はシーズンじゃないのだそうです。で、作業場の中にたくさん吊してあった洗濯ばさみ!何に使うと思いますか? これは昆布を乾すための洗濯ばさみなんだそうです。さぞかし壮観でしょうね!!

と、そんなこんなをやっていたら、電車の時間が近づいてきましたので、急いで田老駅に戻ります。電車に乗って一息ついたところで、「あ~肝心な場所を忘れていた」。震災遺構として保存が決まった「たろう観光ホテル」跡を見なければならなかったのでした。防潮堤に夢中になってすっかり忘れていました。また来いということですね。

◎島越駅―復興した駅舎

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島越駅は、田野畑村という村にあります。駅から見る海の眺めは絶景です。ただ、三陸鉄道の中では、唯一津波の被害を受けた駅舎でした。駅舎の方に聞いたところでは、元は青い色の駅舎で、ちょうど4枚目―2段目右のトンネルあたりにあったそうです。三陸鉄道はだいたい山側に建てられていますから、島越駅舎自体が例外だったのです。4枚目と5枚目は元は普通の、といったら変かも知れませんが、普通の橋梁で、海からこの下を通って、6枚目―3段目右に向って家屋が並んでいたそうで、この地区だけで28名が亡くなって、まだ行方不明の方もいるとのことでした。震災前の写真を見せていただきましたが、生活の匂いが一杯の写真でした。この写真の中では高台にあった2軒の家、おわかりでしょうか?5枚目に写っている2軒の家です。ここだけが残ったそうです。ポツンと駅舎の新しさだけが目立って、訪れる人も少なくて、それがもの悲しい駅でした。

◎三陸の海

三陸鉄道と言えば、海辺ばかりを走るのかと思っていましたら、意外や意外、山を走ることの方が多くて、とにかくトンネルが多かったですね。あまちゃんの影響は大きいですね。でも、確か、津波の時もあまちゃんが上京する時もトンネルが効果的に使ってありました。島越駅の写真でも宮古方面にも久慈方面にもトンネルがあるのが見えますよね。海がよーく見えるのは、白井海岸駅から堀内駅そして野田玉川駅にかけてです。ここら辺があまちゃんの舞台だったのです。堀内駅を出るとまず大沢橋梁という絶景ポイントを過ぎるのですが、ここで運転手さんが電車を止めて、解説をしてくれます。大沢橋梁は高さが30m、長さが170mあるそうで、この三陸の海は、親潮と黒潮が合流する、世界三大漁場の一つとのことでした。

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またあまちゃんの話題で失礼しますが、ここが宮本信子さん演じる「夏ばっぱ」が大漁旗を振っていた海岸です。

続いて安家川橋梁で止まってくれました。安家川橋梁は、高さ33mで全長303mと大沢橋梁より高くて長い橋梁です。眼下に見える川には鮭が遡上するのだそうです。神奈川に住んでいる限りではお目にかかれない風景です。そう言えば、昨日のタクシーの運転手さんもそんな話をされていました。

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これ以外にも駅と駅の間で三陸の海を眺めることが出ます。やはり、海の風景は美しいです。テレビで見た津波の風景がやはり嘘のようです。

こうしてようやく久慈駅に着きました。時刻は予定通り16時46分。ここで意外なものをみることになります。お座敷列車です。コタツ車ではないのですが、なかなか趣があります。

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本日歩いた歩数24,823歩、距離17.55km、登った階段の数32階分。いや~さすがに疲れました。老体には酷です(^_^;)でも、やはり自分の足で歩いてみなければわからないことがたくさんあります。その意味で本当に充実した1日でした。

以上で報告を終わります。長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。

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