藤澤浮世絵館は、東海道線辻堂駅北口より徒歩5分、ココテラス湘南というビルの7階にある藤沢市立の美術館で、7月16日に開館したばかりです。それにしても辻堂駅の様変わりには驚くばかりです。そうそう行ったことがあるわけではないですけれど、1980年の後半にはじめて降りたときには、葬儀場だけが目立つ駅でした。
訪問した目的は、大磯町史でご一緒させていただいて、まぁ、その前から何やかにやとお世話になっていた細井守さんと、湘南日韓親善協会の澤野義親さんに会って、協会40周年行事について打ち合わせをするためでした。来年の3月19日には記念式典を開催することになっていて、そこでは私は、朝鮮通信使と藤沢宿について講演をします。また、これに向けて小冊子を作成しますので、それも含めての打ち合わせでした。詳細については、もう少し明らかになったところでまた報告します。
それにしても、開館準備前に1度訪問していたのですが、スペース的には小さいながらも、なかなか充実した浮世絵館です。浮世絵について学ぶスペースなどもあります。
言うまでもなく、江戸時代の藤沢は、東海道の宿場町で、参詣の島、江ノ島があります。藤沢と江ノ島、これが二大テーマです。そうそう、清浄光寺、通称遊行寺の門前町として栄えたことも忘れてはいけませんね。それだけにもちろん、著名な画家の手によって、たくさんの浮世絵が描かれています。本日は、細井さんにいろいろと解説してもらいましたが、江戸時代の、とくに後期の浮世絵にはただ描くだけでなく、いろんな仕掛けがしてありますから、ただ漠然と眺めるだけでは、その深さがわかりません。例えば、美人画として描かれているのかなと思っていたら、そこには七福神が隠れているといった案配です。話を聞いていて、自分の素養のなさを思い知らされます。
何はともあれ、百聞は一見にしかず…です。ぜひ1度、訪れていただければと思います。来年度は、江戸時代の文化について卒業論文を書きたいという学生も多いので、ゼミ生を連れてこようかなと思います。絵解きではないけれど、「歴史図像学」と呼ばれる研究分野はまだまだ始まったばかりで、まず何よりも現物を見て、それもできれば解説を聞きながら見た方が絶対いいに決まっていますもんね。