【徒然】秋の夏空、夏雲…!? ―歴史気候学―


それにしても厳しい残暑が続きます。季節は秋なのに、見上げればいつまでも夏空、夏雲…。下の写真は、自宅の屋上から厚木の市街地(東方面)を見たところです。左上部が9月16日、右上部が同17日、下の2枚は今日19日の写真で、右下部は同じく屋上から北方面を眺めたものです。確かにいつまでも続く夏空、夏雲ですね…(^_^;)

元アメリカ副大統領で、ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴアの『不都合な真実』(枝廣淳子訳、ランダムハウス講談社、2007)は、地球温暖化への警鐘を広く世界にアピールしましたが、そこに掲載されたグラフ(p.72-p.73)によれば、確かに地球の気温は全体的に上昇傾向にあって、とくに1980年代からの気温の上昇率は、それ以前と比べてもまさに異常といえるものです。しかもこの気温の上昇は、逆に超大型の台風や大雨をもたらすことにもなりますから、事は複雑です。エルニーニョに代表される異常気象ですね。9月3日、4日の台風12号による和歌山県、奈良県などの被害はまだ記憶に新しく、その際にできた土砂ダム(せき止め湖)崩壊の危険は、今も周辺地域を脅かしています。3月11日の大津波を加えれば、今年は明らかに「水」の年と呼べるのですが、それがこの夏の厳しい暑さとそれに続く残暑と見事なコントラストを示しています。

気候の変動が歴史の展開に与えた影響を調べる学問を「歴史気候学」と呼びます(根本順吉「歴史気候学の進展―江戸小氷期と飢饉―」週間朝日百科  『日本の歴史』87 近世2-10 浅間の噴火と飢饉、1987)  。人間が築き上げた政治や経済や社会などに比べて、気候という不安定な要素を歴史の展開に組み込むことは、とくに歴史学の分野ではあまり積極的に取り上げられてはこなかったようです。でも、これを長期的な気候状況と短期的な気候変動との関係性で詳しくみていけば、その影響は決して小さいとはいえないのではないでしょうか。実際、日本の戦国時代は全体的な低温状態にあって、凶作や飢饉が絶えない時代であったとされていますし(藤木久志『雑兵たちの戦場』朝日新聞社、1995)、江戸の幕末も天保飢饉のころから引き続いて全体的な低温状況にありました。時代の大変動はどうやら気候の変動、とくに不順で不安定な天候と深く関係しているようです。

ただし、江戸時代は全体的に気温が低い状態―「小氷期」にあったといいます。とはいっても、260年余にわたる江戸時代の中でも比較的気温の高い時期と低い時期があって、それがやはり社会に大きな影響を与えていますし、場合によっては幕府の政策そのものを変えるほどの影響を与えます。しかも近年の歴史気候学の研究成果によれば、従来は歴史的な環境条件として寒暖の変化に重きを置いていたけれど、実際に決定的な条件となるのは寒暖ではなく雨量であることがわかってきたといいます。ここで問題なのは、雨量が少ないことです。現代のアフリカにみられるように、雨量の少なさは干ばつ引き起こし、飢餓を生み出します。それが地球の温暖化という問題に起因してくる訳で、それが大雨をももたらすという、結局、今年のような状況になってきますね。

気候の変動はまた、火山の噴火などにも左右されます。これに地震やそれによる津波の被害などを考えれば、人が紡いでいく歴史にさまざまな災害がいかに深く影響を与えていることか。この点は、このブログでもちょっと触れてみました(2011年5月13日掲載分)。それらを明らかにしていくことも興味のある、そして大事なテーマであると思います。この話、とくに歴史気候学からみた江戸時代について、もう少し続けてみてみることにしましょう。

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