【史料学03】史料保存箱(ファイルボックス)へのこだわり


栃木県安蘇郡閑馬村(現佐野市)関係史料245点は、すべて専用の史料保存箱、正確にいえば史料保存用ファイルボックスに入れて保管しています。箱というよりもまさにファイルボックスなのです。これには私なりのこだわりがあって、試行錯誤の結果としてできた特注品です。せっかくですから、少し詳しくお話しすることにしましょう。

◎チェコ・エンバ社製のアーカイブ・ボックス

現在、一般的に古文書を保存する容器は、中性紙でできた「かぶせ蓋」型や「観音開き」型、「上下オープン」型の「保存箱」に入れるのが一般的です。いわゆる「こもんじょ箱」の類です。閑馬村関係史料には、特製のファイルボックスを使っていますが、これはTRCC東京修復保存センター児島聡さんと相談を重ねて作製してもらったもので、この元となったのがチェコのエンバ社という会社が販売しているアーカイブズ・ボックスでした。確か2002年~3年頃だったと思います。全国大学史資料協議会東日本部会の見学会で訪問した際に、初めてこのアーカイブズ・ボックスを見ました。残念ながら、その場所は失念してしまいました(^_^;)いつものことですが、どうも記憶には自信がありません。ただ、一目見たときにこれだ!!と思いました。

ちょうど、現在の東海大学学園史資料センターが、「文書課史料編纂委員会事務室」という名称で代々木校舎にあった頃で、2003年度には湘南校舎に移転することが決まっていました。そのために新しく倉庫を整備して、保管用の棚を入れるのですが、それらの設計もすべて任されていました。この倉庫というのが実は、大学が運営していたボーリング場を改装したものです!!それ自体すごい構想ですが、おかげさまで学園史資料センター(移転にあたってこの名称に変わったのです)には4レーン分が割り当てられることになりました。レーンですから、奥がとれますので、ここは一つ移動式の棚を設置することにしました。ただし、予算の関係もありますので、なるべく低予算でしかもしっかりしたものをということで、酒屋さんなどがビールの箱を保管するための移動式棚を転用することにしました。ボーリング場のレーンの上にレールを通して、棚を移動させる!なかなか素敵な試みです。ボーリングのレーンの長さの分だけレールを通すのですから、それはそれは壮観です。

この移動棚に収納する保存箱として、エンバ社のアーカイブ・ボックスを使うことにしたのでした。ですから移動棚の奥行きと高さは、このエンバ社のアーカイブ・ボックスに合わせて調整してもらいました。

アーカイブ・ボックスには、A3判とA4判のものがあって、これには一時保管用と永年保管用の2種類があります。史料保管用にはもちろん、A3判のものを使うのですが、永年保管用のボックスはとにかく厚手で取り扱いが不便でしたので、一時保管用を購入することにしました。ただし、やはり「一時」のためですから、逆にこちらの方は薄くて不安定でした。いわゆる帯に短したすきに長しってやつですね。でも、たとえ輸入したとしても、これだけの安い値段で大量の箱を揃えることはできませんから、やはり日本のアーカイブズ関連は、用品的にも遅れていると言わざるを得ません。もちろん、ph値に問題はありません。茶色っぽい色ですので、中性紙だとはちょっと思えませんけどね。ちなみにA4判の一時保管用アーカイブ・ボックスも購入していて、これはパンフレットや学校案内等の印刷刊行物を整理・収納するのに使っています。

ファイルボックス型にしたのは、収納の利便性と管理のしやすさ、そして取り扱いのしやすさを考えてのことです。大きな箱は重いですから、女性でも扱いやすいとなるとファイルボックス型の方がいいかなとまずは考えました。また、大きさや形態が多様な近現代史料を収納するのにも便利かなと思ったのですが、それよりも「古文書」を収納することの方が適切ではないかと考えるようになりました。その実験素材が閑馬村関係史料でした。具体的な取り扱いについては、このサイトの「史料学研究」の「史料保存箱の試み」にあります。ここではその前提となる思想といいますか、考え方から具体的な運用についてもっと詳しくみていきましょうというのことです。「史料保存箱の試み」では、「史料管理学演習」というウィンターセッションで開講されている授業で、閑馬村関係史料を整理した時の様子を紹介していますが、これについてもこれから詳しく説明していきます。

いずれにしても、詳細は次回以降に回すことにして、今回はまず手始めとして、エンバ社のアーカイブ・ボックスとそれが収納された風景、特注したファイルボックスの写真を見ていただきましょう。

左上がエンバ社のアーカイブ・ボックスで、右上がアーカイブ・ボックスとTRCC製のファイルボックスを並べたところです。エンバ社のアーカイブ・ボックスでは、蓋の部分が心許ないのがわかっていただけるでしょうか。TRCC製では蓋の部分を大きくしてもらっています。また、アーカイブ・ボックスの正面に空いた穴は指で引っかけて取り出すのに便利ですから、これも形を変えて取り入れてもらいました。おっと、また話を始めると長くなりますから、その試みについてはやはり次回ということにしましょう。そうですね、TRCC東京修復保存センター製のボックスは、TRCC製アーカイブ・ファイルボックスとでも呼ぶことにしましょうか。パクリに違いはありませんが…(^_^)

下の写真2枚は、アーカイブ・ボックスが収納された移動棚です。雰囲気だけでも感じていただけたらと思います。

馬場弘臣 のプロフィール写真
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