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北條秀司関連資料

資料概要

北條秀司関係資料は、大分類として7つの項目に分けて整理している。

  1. 原稿・日記・ノート類
  2. 演劇関係
  3. スクラップブック
  4. 書簡
  5. 書画類
  6. 写真・絵はがき類
  7. その他

(1)原稿・日記・ノート類

いわゆる創作活動に関するもので、それぞれ「筆記」されていることを前提としてまとめたともいえる。思いのほか、北條の自筆原稿が残されていることが確認できたが、逆に日記やノートの類は少なく、記事の内容も決して豊富とはいえない。そのなかでも1940(昭和15)年と42年・43年に従軍作家として満州を旅行した時の記録が残されていることは貴重であろう。長谷川伸や西條八十など、他者の原稿が保存されているのは、自ら主宰していた雑誌『舞台』に寄稿されたものが主である。

(2)演劇関係

台本・プログラム・ポスターなどの演劇に関する基本資料で、(1)との比較でいえば、こちらは印刷・刊行されたものといえる。これにはデビュー作である「表彰式前後」を含めて戦前からのものが多数残されている。こうした資料は、まず第一にいつからのものが、どれだけ系統的に揃っているのかということが評価の基準となるであろう。また、とくに台本などであれば、書き込みがあればその有無が資料としての価値を左右する。そこに演出の過程や俳優の姿勢、意図などを読み取ることができるからである。ここで特筆すべきは「芝居番付」であろう。これは後のプログラムやパンフレットに相当するもので、北條は明治期からの「芝居番付」を意識してコレクションしている。

(3)スクラップブック

北條自身の資料整理をもっとも象徴するものである。例えば、新国劇・新派の俳優や松竹、東宝などの演劇関係者の書簡帳であったり、上演の記録帳であったり、創作のための資料集であったり、取材帳であったり、あるいは文化功労賞や○周年記念などの記念事業やそのパーティーに関するもの、果ては海外旅行の写真や記録などにいたるまで、とにかく北條はたくさんのスクラップブックを作成している。そのほとんどは、北條の指示で美和子夫人が作成したものであるという。とくに演劇関係者の書簡帳や上演の記録帳、創作の資料集、取材帳などは、(1)・(2)と並んで、北條秀司における演劇関係の基本資料であるといえよう。なかでも注目すべきは上演の記録である。これにはプログラムやチラシ、舞台写真、書簡など、その上演に関するあらゆる「記録」が収録されているのである。松竹大谷図書館には、1937年のデビュー作「表彰式前後」から、八八年の「春日局」まで、700冊を超えるスクラップブックが寄贈されている。付属図書館保存分を合わせれば、再演を含めてほぼすべての公演が網羅されているといえよう。そのこと自体が驚くべき事実であり、劇作家・演出家北條秀司の足跡を考えるうえで欠かせない資料である。

(4)書簡

個人の資料群としてはとくに重要なものであることは改めていうまでもないであろう。これもまた北條の足跡を示す基本資料の一つである。ただし、スクラップブックに収録されたものも含めてその量はあまりに膨大であり、整理や目録化作業自体がまだ今後の課題である。

(5)書画類

ある意味北條関係資料の存在価値を大きく特徴づけるものであるといえよう。これは何も北條が買い求めてコレクションしたものではなく、劇作家として活動していく過程で集まったものであって、そこに何より大きな意味がある。すべてが親しい人物というわけではないが、そこに北條の人脈とかかわり方をみていくことは可能であろう。それにしても書画の作者は多士済々である。例えば、同じ劇作家としては、師匠にあたる岡本綺堂に長谷川伸はもちろんのこと、、川口松太郎、久保田万太郎などがあり、俳優には新派の花柳章太郎、井上正夫、新国劇の島田正吾に辰巳柳太郎、緒形拳、歌舞伎の九世市川團十郎、六世尾上菊五郎などの名優たち、さらには歌人の吉井勇、西條八十、画家の井上三綱、書家で円覚寺管長の朝比奈宗源などである。

(6)写真・絵はがき類

とくに写真についてはこれまた膨大である。 現在のところ、舞台写真や北條の演出風景など、演劇関係を中心に市販のアルバムで20冊あまりを整理し、必要に応じてデジタル化作業も進めているが、目録化もまだまだこれからである。また、その他のバラになった資料や一点ものの資料は、

(7)その他

その他としてまとめて整理している。なかにはスクラップブックにする途中の資料もあったりして、整理そのものに苦戦しているのが現状である。

北條秀司関係資料

資料の整理状況