歴史を学ぶ技術
史料を整理する
史料保存箱の試み
整理した史料は、将来、歴史の研究に役立てるため、また文化的な遺産として大切に保存して、後世に伝えていかなければならない。その前提には、史料の保存はもちろんのことだが、その利用についても考慮する必要がある。そこで、史料の長期保存と活用のために、できる限り良い状態で維持する保存容器が必要となる。
ここでは、保存容器の一つである保存箱についての現在使用を試みているものを紹介していこうと思う。使用している保存箱は以下のものである。
東京修復保存センター製ファイルボックスおよび外箱
ファイルボックス(保存箱)
外箱の特徴
- 段ボールの内ライナーは、添加物の少ないピュアな紙を使用
→ピザの宅配で用いられる食品用段ボール用の紙を使用しています。人間が食べるものに触れても問題のない紙と接着剤が用いられています。 - 内ライナーには、酸の発生がマイルドな「無サイズ紙」を使用
→食品包材用ということで、印刷適性を改善するためのサイズ剤を入れていません。そのため「pH6.3」という段ボール素材としては、中性に近いpH値となっています。 - この値は、保存性が高いといわれている和紙と同程度のpH値ですので、酸の発生もマイルドで、保存性も期待できます。
- 段ボールの外ライナーは、ヤシ(アブラヤシ)の混入紙。
→ササの混入紙同様、「エコ」な素材を使用。pH値はpH5.3で酸性紙ですが、水の浸透がゆるやかで溶解しにくい紙ですので、外ライナーとして適材です。
※アブラヤシは、パーム油の原料で、1房あたり40-50kgほどになる果実ができる。果実を搾ったあとの搾りかす(ヤシガサ)の処理は容易でなく問題となっている。段ボール素材はこの搾りかすを利用するので、環境に良いといわれている。
価格(2010年12月時点)
作成個数 | A3サイズ用(3箱収納) | 4サイズ用(4箱収納) |
---|---|---|
500個作った場合 | 1,000円 | 700円 |
1,000個作った場合 | 800円 | 540円 |
詳しくは東京修復保存センター(TRCC)まで
保存箱の使用
1.保存箱の組み立て
東京修復保存センターから発注した保存箱。外箱に入れた時に取り出せるように、保存箱の端に耳を付けたり、持ち運ぶ時に便利なように穴をあけてもらっている。
2.封筒に目録シールを貼る
史料目録の作成は、管理工学研究所の「桐」というデータベースソフトを使用している。このアプリケーションの「レポート印刷」機能を使うと美しいラベルを印刷することができる。貼る時はシワになりやすいので注意。
3.保存箱に史料を詰める
あまり沢山の封筒を入れると、取り出す時や持ち運びの時に重くなるので注意。また、史料の入った封筒は、中性紙のフォルダに挟んでおくと保存箱から史料を取り出す時に便利。
4.箱にシールを貼る
縦・横の両面にシールを貼るとどこからでどの様に箱を置いても中の史料を確認できる。フォルダのミミにも史料番号を印刷したシールを貼っておくと、史料を箱から取り出す時に確認ができ便利。
5.完成
できた保存箱は外箱に入れると、複数の箱をいっぺんに持て、外箱に持ち手があるので運ぶのにも便利。