HOMEプロジェクト研究 > 2014~2016年度文明研究所プロジェクト|研究概要

2014年度
東海大学文明研究所コアプロジェクト
概要

プロジェクト名

「震災復興と文明」研究計画(個別テーマ)

メンバー

  • 沓澤 宣賢(総合教育センター教授,文明研究所所長)
    ※アドバイザー
  • 杉山 太宏(工学部土木工学科教授)
  • 馬場弘臣(教育研究所教授)
  • 田中彰吾(総合教育センター准教授)
    ※プロジェクト・リーダー

プロジェクト全体の趣旨

周知のとおり、2011年3月11日に発生した東日本大震災はきわめて大規模な自然災害であった。被災地域の復旧・復興という具体的課題を残しただけでなく、原子力発電の問題や津波に対する都市の脆弱性など、現代文明のあり方を私たちに反省させる契機ともなった。このプロジェクトでは、東日本大震災からの復興過程が問いかけている各種の文明論的課題について、人間学的観点(田中)、歴史学的観点(馬場・沓澤)、工学的観点(杉山)から考察し、復興政策の一助となるような研究成果として発信することを目標とする。

個別テーマの概要

(a) 田中彰吾「震災復興とランドスケープの問題」

自然災害はその地域で暮らす人々にとって、「ランドスケープの破壊」となって現われる。ランドスケープは、自然と、そこで生活する人間の眼差しが交差する場所に広がる景観や風景を指す。東日本大震災は、被災地域のランドスケープをどのように変えてしまったのだろうか。また、人々はどのようなランドスケープの復興もしくは創造を望んでいるのだろうか。世界の景観を均質化してゆく現代文明の問題点との関連も視野に入れながら、被災地域におけるあるべき「ランドスケープの復興」について、人間学的な観点から考察する。

(b) 馬場弘臣「元禄大地震・宝永富士山噴火と小田原藩―大災害復興過程における年貢回復策を中心に―」

1703(元禄16)年の小田原大地震から1707(宝永4)年の富士山噴火へと続く大災害は、相模国西部地方から駿河国御殿場地方の小田原藩領一帯に未曾有の被害をもたらした。小田原藩や江戸幕府における復旧策については、特に周辺の自治体史を中心に多くの研究成果がある。だが、重要なのは、災害直後からの直接的な復旧策だけでなく、生産力の回復を中心としたその後の動向を長期的にみていくことであろう。東日本大震災後の現状は、このような大災害復興過程における長期的視野の必要性を突きつけているともいえよう。災害の多発する日本ではその歴史過程に学ぶことも重要である。本研究では、小田原藩の年貢回復の問題を徴租法と藩政の動向から長期的スパーンでみていくことで、災害復興の経済的・政治的・社会的意義を歴史学的視点から検討していくことをめざす。

(c) 杉山太宏「震災復興のためのハード対策とソフト対策」

自然災害の巣窟とも言われる日本の土木技術者は、災害を経験するたびに設計手法・設計指針の見直しを行い、安心・安全、防災・減災のための技術開発(ハード対策)に取り組んできた。東日本大震災は、しかし、想像を超える自然(地球)の持つ力を我々に見せつけた。ハード対策のみならずソフト対策(システム構築、教育・啓発活動など)の必要性と重要性が唱えられている。広域多所災害となった「東北」で進められている復旧・復興のためのハード対策とソフト対策の現状と課題について工学的な観点から考察する。

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現在のプロジェクト

2014~2016年度東海大学文明研究所コアプロジェクト
「震災復興と文明」

過去のプロジェクト

2013~2015年度
「東海大学の創立と発展に関する基礎的研究」 ※当プロジェクトは2014年の組織変更のため、廃止
2010~2012年度
「近代村落小学校の設立に関する基礎的研究」
2007~2009年度
「「風聞集」にみるペリー来航から幕末維新期にかけての社会変動に関する研究と関係史料集の翻刻」