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浪士真似鳥

昨日(14日)より日本史の専門も授業が始まりました。私の場合は、日本近世史基礎演習と卒業論文基礎2です。卒業論文基礎2はいわゆる卒論のゼミですね。日本近世史基礎演習は、近世史料の読み方、調べ方、解読の仕方の基本を学ぶ授業です。どちらも専門科目ですし、また7名ずつということで、対面で授業を行なっています。やっぱり演習科目は対面の方が効果が高いかと思います。

さて、ただいま『幕末風聞集』改訂増補版の出版に向けて、鋭意作業中です。『幕末風聞集』は2010年に東海大学教育研究所(現・教育開発研究センター)の個別研究プロジェクトとして刊行した史料集です。私にとっては専任になって初めての所属部署での研究成果でした。

「幕末風聞集」は本校の付属図書館が所蔵していた史料で、全5巻からなります。嘉永6年(1853)のペリー来航を契機に記録を始めたようで、慶応4年(1868)4月までの記述があります。著者がはっきりしませんが、内容を読む限り、どうも伊勢松坂(三重県松阪市)の商人の手によるものと思われます。『幕末風聞集』は5巻を総称するもので、一つ一つのタイトルは異なっています。「風聞」ですから誤報や間違いなどもありますが、例えば大坂や京都からの書状など、ここにしから見られない記事もあってなかなか貴重な史料だと思います。そもそもこうした「風聞集」の類が大量に増えてくるのも幕末の特徴ですからね。

まぁ~増補改訂版と言っても簡単な目次というか索引を作成しているだけです。内容はだいたい年代順には並んでいますが、「風聞」だけに多様な記述がありますので、少しでも読むことの助けになればと思っています。その第3巻目にこんな絵が描いてありました。

ここの部分の記述を翻刻してみますと次のようになります。

此異鳥ハ近来アメリカ渡来ゟ天気人気寄て生ス、人呼而浪士真似鳥となつく、觜尖りて鳶の如く、眼怒て鷲の如し、鞘の如き赤き尾有、是ハ下駄の如くにて額の前せまく後れ毛有、まげ長くして拍子木の如く、腹をわれハ胆甚小さく、其唱声詩を吟するか如し、見懸ハ猛勇なれ共、逃る事速し、是をとるニ長しなひを以させバ鳥もち入らすして得べし、近頃其類追々ふえて更に珍しからす、翼あれ共高飛出来す、常々往還を群飛し好てヨハ虫を喰ふ、又一名コケヲトシ共言、何の用にも足す、唐ヘン木に生する実を常に食トす也

浪士真似鳥」というのだそうです。当時、世間を騒がせていた「浪士」達、とくにそのまねをする連中を皮肉ったものです。「常々往還を群れて飛んできては弱虫を食らう。また別名をこけおどしとも言う。なんの役にも立たず、唐変木になる実を常に食す」となかなか痛烈な批判です。おもしろいですね(^^)残念ながら翻刻した史料集はモノクロですので、ここで先に紹介しておきますね。

あぁそうだ!日本近世史基礎演習で今回読む史料は、次に翻刻予定の小田原藩士の記録「吉岡由緒書」で、文久三年八月十八日の政変から禁門の変までの記述を読む予定です!

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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