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最新情報 緒形拳展。 記念冊子は凄いぞ!自画自賛!

初校がすべて終わって全体があらかた確定したところで、ようやく企画展「緒形拳とその時代-戦後大衆文化史の軌跡-」記念冊子のご紹介です(^^)本当はお昼に公開する予定で、Twitterとかでそう告知していたのですが、打ち合わせが入ってしまい、遅くなってしまいました。失礼いたしました。

まずは本のタイトルです。『戦後大衆文化史の軌跡-緒形拳とその時代』となります。えっ?展覧会のメインタイトルと副題をひっくり返しただけじゃないかですって?はい、その通りです。ボキャブラリーが少ないので、ご勘弁ください(^^)

ということで、まずは目次ページをご覧いただきましょう!

『戦後大衆文化史の軌跡-緒形拳とその時代』最新目次

この写真は、緒形さんが新国劇時代、1965(昭和40)年1月に新橋演舞場で上演された「慶安の狼 丸橋忠弥」で主役の丸橋忠弥を演じられた時のものです。改めて、この演目は慶安4年(1651)に由井正雪や丸橋忠弥らが首謀者となって、幕政への批判から挙兵を企てた事件、慶安事件や由井正雪の乱と呼ばれる事件を題材にしたものです。鎗を突き立てた丸橋忠弥のビジュアルが素晴らしいですね。これを選択したデザイナーさんのセンスに脱帽です。

そして目次です。先ほど再校が届きましたので、最新のものです。どうですか!執筆陣の豪華ラインナップ!!自画自賛です(^_^)vこの経緯を含め、裏話を挟みながら、紹介していきます。なお、親しみを込めて、「先生」づけではなくて、すべて「さん」づけで紹介させていただきます。

くり返しになりますが、私は江戸時代史、近世史が専門で、小田原藩政史などを中心に、いわゆる地域史を研究しています。ですから、まずは舞台関係者、映画関係者、テレビ関係者には一切直接のツテはありません。また今回は、ポスターやチラシ等の広報資料、スチール写真をはじめとする画像資料については、二次使用や肖像権等の諸権利の問題で、図録を作成するのは難しいとはじめから思っていました。だから、当初からビジュアルより読むことを中心としようと考えていました。それからNHK横浜放送局が共催になると決まってからは、大河ドラマで一つまとめらえないかなと思っていました。何せ緒形さんは大河ドラマに9回も出演されています。1965年_太閤記(主役・豊臣秀吉)、66年_源義経、72年_新・平家物語、76年_風と雲と虹と、78年_黄金の日日、82年_峠の群像(主役・大内内蔵之助)、91年_太平記、97年_毛利元就、2007年_風林火山です。各年代ごとに出演されているのも凄いですね。それも古代から近世までまんべんなくです。その中でも戦国時代を含む中世が5本ですか……。

さて、本書ではまず、巻頭に緒形さんのカラーグラビア(何だかなまめかし言い方ですが… ^^;)12ページから始まり、「緒形拳からのメッセージ」として、緒形さんが残された原稿を翻刻しています。その中にはすでに編集して『恋慕渇仰』(1993年)などに収録されているものもあります。ここではあえて元原稿を翻刻するという形態をとっています。私らにとってみたら「史料」の翻刻と一緒です。ぜひ、読み比べていただいたら、それはそれで面白いかと思います。とにかく緒形さんの真っ直ぐな言葉は、読んでいて心にしみます。

寄稿していただいた原稿は、第1部  緒形拳と大衆文化史と、第2部 歴史学×NHK大河ドラマ×緒形拳の2部構成で配置しました。

第1部は、私が巻頭を飾っています。展覧会全体の流れと展覧会および本書の意図についてまとめたものです。その分長くなって…基本的に年表代わりと言われたら、そうかも……(^^;)

石川肇さんは、国際日本文化研究センターで新国劇を含む時代劇を研究していらっしゃいます。ここでは新国劇の岩上力さんへのインタビューから、とくに新国劇の殺陣と緒形さんについてまとめていただきました。また、石川さんには、岩上さんと、新国劇の流れをくむ若獅子の会代表の笠原章さんが新国劇の殺陣の基本である「新国劇十の型」を模範演技してくださっているビデオを貸していただいております。2分くらいのビデオですが、毎日会場で流す予定です。

ここでは新国劇の流れから見た演技論が非常に興味深いです。

若泉久朗さんは、現在NHKの理事を務めていらっしゃっいます。緒形さんとは、プロデューサーとして「百年の男」( 1995年)で始めてご一緒されてからのお付き合いで、最後の大河ドラマ「風林火山」のプロデューサーも担当されています。もうこのタイトル「役者は色気だ」からして素敵ですよね。

垣井道弘さんは、映画評論家で、「Mishima A Life in Four Chapters」(1985年)で緒形さんを密着取材されてからの仲だそうです。2006年には『緒形拳を追いかけて』という本を上梓されました。それこそ緒形拳については第一人者です。このタイトル「緒形拳は映画を愛し、映画に愛された」からして緒形さんと映画への愛が溢れています。垣井さんの映画論と緒形拳論はもう必読ですね。

第1部のラストを飾りますのは、舞台「ゴドーを待ちながら」(2001年~4年)や「ひとり芝居 白野」(2006年~7年)のプロダクション監督として、一緒に全国を廻られたKAAT神奈川劇場館長眞野純さんのインタビューです。インタビュアーは私が勤めました。これはまた、舞台監督の立場からみた緒形拳論が実に面白い!

以上、新国劇、テレビドラマ、映画、舞台、それぞれのプロパーに原稿を寄せていただいております。若泉さん、垣井さん眞野さんについては、緒形さんのマネージャーだったハッピーさんにご紹介いただきました。

第2部については、これはもう国際日本文化研究センターの呉座勇一さんに本当にお世話になりました。先述しましたように、企画にあたっては緒形さんを題材にしたNHK大河ドラマ論みたいなものがまとめられないかなと思っていました。そこで相談したのが呉座さんです。といっても私は面識はありません。Twitterでやり取りしているだけです。ただ、呉座さんが歴史の虚と実、歴史学と歴史小説の違いなどについて、時には辛辣に、でも、とにかく的を射た本を書かれたり、発言されたりしていましたので、まずは呉座さんに相談してみようと。もちろん『応仁の乱』(中公新書)をはじめとする著書を拝見してのことでもあります。

ただ、そこでの依頼が1965年の「太閤記」をはじめとして、豊臣秀吉論みたいなものを書いていただけないかということでした。さすが1980年生まれでは「太閤記」などは話に聞いているだけで、「黄金の日日」もよく知らない…とのこと。当り前ですよね。そこで提案いただいたのが、春日太一さんといっしょにやっている「日本史よもやま話」というトークステージ&インターネット配信番組で、今度、秀吉について取り上げるからそれを原稿にしたらどうかということでした。今年はご存じのようにコロナ禍で、インターネット配信だけで行なうということでした。

ここで呉座さんには、映画史・時代劇評論家の春日太一さんを紹介していただきました。「日本史よもやま話」そのものがお二人でやっていらっしゃる企画でした。春日さんには速攻でご快諾いただきまして、さらにインターネットで配信している番組で緒形さんを取り上げるから、それを原稿にしたいというありがたいお申し出!題して「この緒形拳が凄い!」それが、本書のラスト飾っています。いろんな角度から緒形さんとその出演作品をご紹介いただいております。ただ、配信では20本ご紹介いただいたのですが、ページ数の関係でさらに厳選して15本に絞っていただきました。

とにかくお二人の語る「豊臣秀吉」論は、本当におもしろいです。私はいくつも目から鱗が落ちる思いでした。

さらに呉座さんには、「太平記」について亀田俊和さんを、「風林火山」については平山優さんをご紹介いただきました。実はお二人ともTwitterで直接やり取りしているだけでした。ただ、『観応の擾乱』(中公新書)を読んで、この時代だったら亀田さんだと思っていました。ところが、亀田さん、「太平記」はちょうど寮に入っていて視ていないとのこと。早速、手元にあった「太平記」の総集編のDVDを台湾大学まで送りました。ところが…郵便局に行くと、「ただいまコロナ禍で、特に中国には郵便物を送るのが止められているから、台湾でも送り返されるかも知れない」ということでした。幸い無事に届けることができたのですが、それからが早い!全編を視ていただいた後は、あっという間に原稿が届きました。確か3日程しかからなかったかと思います。いつも締切り破りの私は恥ずかしい限りです。

これも著書を拝見してなのですが、「風林火山」について書いてもらうなら、これは絶対、平山さんだと思っていました。武田氏の研究についてはもちろんのこと、今日は実は新著『戦国の忍び』(KADOKAWA)の情報解禁日でもあります。この日に一緒に情報を解禁することも二人で決めていました。

平山さんも呉座さんから紹介していただきました。連絡を取ったら、平山さんは緒形さんのファンで、せっかくだから「毛利元就」の尼子経久についても書きたいと、これまた思いもよらぬ嬉しいお言葉!またまたびっくりでした。

いずれも近年の研究をみて、この人だと思ってお願いしたのですが、正直、みなさんが引き受けてくださるとは思いませんでした。場合によってはこの企画はなくなるかも…と覚悟はしていました。最初、企画案を言ったら市博の井上副館長には、それは豪華すぎるから別に企画したら、と言われたくらいです。

その意味でも呉座さんには、どんなに感謝しても仕切れません。本当に足を向けては眠れないという気持ちです。そうそうもう一つ、呉座さんには石川さんもご紹介いただきました。石川さんのNHK大河ドラマに関する論考を送っていただいて読んでみました。よし、これでもう1本と思っていましたら、石川さんは新国劇についても研究中で、できればそちらで書きたい。それが岩上さんのインタビューになります。これもまた、嬉しい誤算でした。さすがに新国劇について書いてもらえる人はいないだろうなと思っていましたから。

殿(しんがり)は、大石学さんです。大石さんとは大学院生時代からもう30年以上におよぶつきあいになります。講演を頼むことも井上副館長と相談して決めていました。もちろん「峠の群像」についてです。享保改革と徳川吉宗がご専門の大石さんに、元禄期の、しかも忠臣蔵について書いていただく。この方針ははじめから井上さんと一致していました。ですから大石さんには井上さんから依頼してもらいました。

そんなこんなでできあがって…まだいませんね(^^;)

長くなりましたが、展覧会記念冊子のご紹介です。予価は1800円程度になる予定です。それを含めて、とにかく10月3日(土)に合わせるべく必死です。また、追々ご紹介していきますね。再び乞うご期待!

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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