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学ぶということ…。

ついに新型コロナウイルスに対する非常事態宣言が発令されましたね。8日の午前0時をもって執行ということだそうです。東京都と神奈川県、千葉県、埼玉県、関西では大阪府と兵庫県、九州では福岡県の1都と1府5県ですか。私が住んでいる神奈川も、故郷の福岡もどちらも指定されてしまいました。

と言っても、いわゆる封鎖政策-ロックダウンほど徹底したものではなく、自粛をさらに強化したようなものですが、やはり「非常事態宣言」という言葉の重みを感じます。もちろん、日本は先進国の中でも欧米などに比べると、重症者も死者も少ないので、その分はしっかりしていると言えるかもしれません。ただ、知らないうちに保菌者になっていて、それが知らないうちに広がって、私の、もしくはあなたの大事な人が重症になったり、亡くなったりしないように、万全の対策をしましょうということですね。

とはいえ、これで飲食業や宿泊業、中小企業などが大打撃を受けることは間違いないので、その保証はもちろん、なんとかしてほしいと思いますが、ただ、この新型コロナウイルスはある日突然消えるものはなく、特効薬ができるまではうまく付き合っていくしかないかと思います。何にしても気をつけましょう。

そんなことで、結局、関係する地域の大学はどこも遠隔授業になりそうです。これについてはもう少し、考えていきたいと思います。でも、入学式もなく、顔を合わせることもなく、遠隔授業に参加する新入生は大丈夫かなと心配せざるを得ません。

大学は早々に入学式の中止を決めましたが、小中高は自治体によってまちまちでしたね。神奈川県は今日が高等学校の入学式でした。もちろん、我が家の近所の厚木高校も入学式で、非常事態宣言前ということあるのでしょうか?入学式だけは行われていたようです。

以前、ちょうどひと月前になりますか、3月6日のブログで大学院生が実家に帰るのに際して厚木高校のPTA会長として卒業生に贈った言葉を、恥ずかしながら紹介させていただきました。せっかくですから、入学式の祝辞も恥ずかしながら(^^;)その一部を勝手に紹介させていただきたいと思います。厚木高校の皆さんとなっていますが、すべての新入生に向けて……。

神奈川県立厚木高校

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 えぇ、厚木高校という学校は、幸せな学校で、校門を入る前から季節の移ろいを五感で感じることのできる学校です。とくに坂道に咲く桜はこの地域の名物でもあります。でも、今年の桜は、例年より少し早く咲き始めましたので、果たして入学式まで持つかなと実はちょっと心配しておりました。だいぶん葉桜に変わりつつありますが、無事に皆さんを迎えてくれたようで、嬉しい限りです。とくに今年の桜は、開花の後の極端な冷え込みや先日の大嵐に耐えて、昨日の冷たい雨もそうですが、皆さんを迎えてくれたわけですから、いつにもまして、試練に耐えた我慢強い桜だといえるかもしれません。いつの頃からか、最近は桜といえば、別れや旅立ちの花として歌になっているようですが、そもそも桜は出会いの花です。今日の皆さんのように、新たな出会いを祝福する花だと今でも私は思っています。だから、試練に耐えた今年のこの桜の風景を、これからの季節とともに皆さん、絶対、忘れないで下さい。
 なぜなら、残念なことに、皆さんが厚高生として、満開の桜を眺めることができるチャンスは、後、1回しかありません。その次に桜が咲く頃は、皆さんはもう卒業しています。それほど、高校生という季節は駆け足で過ぎていきます。皆さんは、その季節にどんな夢を描くのでしょうか。今は期待と不安と、いや、きっと希望が一番大きいことでしょう。

 ようこそ皆さん、厚木高校へ!私たちは、皆さんの入学を心から歓迎します。皆さんが、100年を超える厚木高校の歴史に新たな1ページを刻むことを心から喜びたいと思います。そして、私たちは、皆さんの3年間を精一杯応援したいと考えています。だから皆さんは、そう、学校の行事も部活動も学校外の活動もどれもこれも精一杯楽しんで、頑張って下さい。もちろん、勉強も、いや勉強をこそ、何よりも一番頑張って下さい。

 よく勉強は一生ものだといわれますが、しかし、人はなぜ勉強するのでしょうか。そしてなぜ、今でなければならないのでしょうか。いい大学に入るためでしょうか?いいところに就職をするためでしょうか?いやいやりっぱな人間になるためでしょうか?どれもこれも確かに動機の一つです。ただ、私は、昔、私の友人から聞いた一言が忘れられません。そいつはいわゆるガリ勉タイプの人間で、いつもいつも一生懸命机に向かっていました。ある時、冷やかし半分に聞いてみました。「なんでそんなにまでしてやるん?」。すると、彼は涼しい顔をして、こう答えました。「だって、勉強すれば人生の選択肢が広がるじゃないか」。
 私はハッとしました。得てして人生の回答は、単純な答えの中にこそあるのかもしれません。人生の選択肢が広がる。人生の可能性が広がるといってもいいかもしれません。それは、たくさんの選択肢の中から選ぶことができるようになるということと同時に、何かに挫折したときに、別の選択肢をみつけることもできるのだという意味でもきっとあったと思います。その振り幅を大きく持っておけること、そのために今、勉強することが必要なのだと、彼は教えてくれたと今は思っています。逆説的な言い方ではありますが、あえて言わせてもらえれば、よく机にばかり座っていないで、広く社会に出て勉強することも大事だといったりしますが、やはり今は、机に座ってたくさんの知識や方法論やその背後にある思想を学ぶことも、とてもとても大事なことなのです。もし、皆さんの中で、私の言葉を覚えてくれている人がいたら、3年後でいいですから、ちょっと思い出してみて下さい。その時、それが納得できるものだったかどうか確認してくれたらと思っています。(以下略)

厚木高校門前の桜は、今はかなり剪定されていて今はここまで咲き誇っていませんが、いつの年も新入生を迎えることに違いはありません。

だから、改めてすべての新入生へ!入学おめでとう!!

投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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