元禄名槍譜 俵星玄蕃
元禄名槍譜 俵星玄蕃。「げんろくめいそうふ たわらぼしげんば」と読みます。知る人ぞ知る三波春夫さんの代表曲です。三波春夫さんといえば「お客様は神様です」というセリフで有名ですね。昭和39年(1964)の東京オリンピックの唄「東京五輪音頭」(オリンピックの顔と顔、それちゃちゃんとちゃちゃんと顔と顔)や昭和45年(1970)の大阪万国博覧会の唄「世界の国からこんにちは」(こんにちは~こんにちは~西の国から~)などで知られていますし、「チャンチキおけさ」(知らぬ同士が小皿叩いてチャンチキおけさぁ~)も好きな曲です。そもそもは浪曲師で「俵星玄蕃」などは歌謡浪曲と呼ばれています。それにしてもYouTubeというのは便利ですね。こんな昔の曲が聴き放題です。
小さい頃、この曲を紅白歌合戦で聴いて凄く心に残っていたことを思い出します。「雪の中をサクッサクッサクサクサク…」という歌詞が妙に頭に残っていて、改めてWikipediaで調べたら昭和39年のことでした。東京オリンピックの年で、私のうちに初めてテレビが来た年のことでした。私はまだ幼稚園に通っていた時です。よく覚えていたものですが、父が本当にうまいなぁと言っていたことを覚えています。作詞の「北村桃治」は三波さんの作詞のペンネームです。普通に歌っても8分くらいかかる曲ですが、自分で書かれたのですね。
俵星玄蕃は、播磨国赤穂藩の藩士たち、家老の大石内蔵助良雄をはじめとするいわゆる赤穂浪士が、主君浅野内匠頭の仇を討つ物語「忠臣蔵」に関する人物です。といっても実在の人物ではなく、講談などで語られてきた架空の人物で、槍の名手である玄蕃が赤穂浪士の吉良邸討ち入りを助太刀しようとする話です。
さっきのシーンですが、改めて聞いてみると「一人の浪士が、雪を蹴立てて、サクッサクッサクサクサク… 先生 おお蕎麦屋かぁ~」という台詞でしたね。YouTubeのコメントを見ていると、やはり皆さんこのシーンが心に残っているようです。蕎麦屋は密偵として吉良家の様子を窺っていた杉野十兵次という人物で、それと知りつつ俵星家秘伝の槍術を伝授するのでした。興味のある方はこちらでご覧ください!フルバージョンです。
歌詞入りをご覧になりたい方はこちらで!
https://www.youtube.com/watch?v=X8T5JAXZyY4
「槍は錆びても その名は錆びぬ」「命を惜しむな 名をこそ惜しめ」など、昭和生まれの心をくすぐる歌詞がちりばめられていて、日本の心だ!武士道精神だ!と声高に叫ぶつもりもありませんが、聴いているとやはり血が騒ぎます。なにせチャンバラが大好きでしたから(^^;)
このブログでも書いていますが、現在は歴史学科の学生でも「忠臣蔵」を知らない学生が増えました。それはそれで淋しいですね。そう言えば浪曲も聴いたことがないでしょうね。毎年9月1日に行なわれる村の祭りでは、必ず浪曲師の方が呼ばれていて、よく聴いたものでした。
この「元禄名槍譜 俵星玄蕃」は三波さんの歌の中でもやはり傑作中之傑作ですね。いろんな演歌歌手の方がカヴァーされていますが、これだけ歌って語れるのはやはり唯一無二だと思います。
そう言えば、昨年緒形拳さんの展覧会で、豊川悦司さんとTBSプロデューサーの貴貴島誠一郎さんのトークショーに、三波さんの息子さんの豊和さんがいらっしゃっていて、ご挨拶させていただいた際に、つい「俵星玄蕃が大好きで…」と言っちゃいました…(^^)
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