史料管理学演習 古文書解読と曝涼展
史料管理学演習も3日目に入りました。さすがにひとりで11人を見ていくのはたいへんです。学生もだいぶ疲れてきたようです。しかも花粉症で苦しむ学生もいて、いや、本当にたいへんです。
ということで本日は借用証文、質地証文、売渡証文などを中心に読んでいって、史料カードを作成していきます。基本的には年月日が読めて、差出人と請取人が読めて…と言いたいところですが、名前は文意で読めないのでなかなか難しいです。後はないようなのですが、ここでは何故お金を借りたか、いくら借りたか、どれくらいの土地を担保にしていくら借りたか、どれくらいの土地をいくらで売り渡したかなどについて書き込んでもらいます。
こんな感じで、今日も悪戦苦闘しながら、史料カードを作成しました。これらの作業は別に体力を使うわけではないけれど、神経的頭脳的に疲れます(^^;)
中にはこんな輩もいます。
まぁ~やんちゃで調子のいい学生はいつでもいるもので、でも頑張ってやっています。
ただ、こうした地方(じかた)文書を読ませていく上で最近特に感じるのは、村落に対する基本的な知識が少なくなってきたなということです。「質地」と言ってもわからない学生が多いのはもちろんのこと、そもそも質入れがわからないという学生も増えました。いわゆる「売ること」と「質に入れること」の区別を説明して、田畑や屋敷地、山林などの土地についてもそうしたことが慣行としてあったことを説明します。
これらの証文はだいたいパターンが決まっています。まずは借りた金額、担保にした土地の反別(面積)が書いてあります。本文にはお金を借りる理由として、例えば「御年貢上納ニ差支」とか「御年貢上納不罷成」zるいは「大借ニ付」「困窮ニ付」といったことですね。そのため前に書かれている金子を確かに借りましたと、ここまでがひとかたまりで、後は条件です。基本的には借金や質入れの期間(年季)と、元利とも返したら土地を返してくださいとか、質入れの期間は年貢や諸役はそちらで払ってくださいとか、何があっても親戚はもちろん、誰も文句は言いませんよとかいった文言です。本当は年季も記入したいところです。
とにかく単調な作業をくり返しますので、今日は写真撮影の方法の実践と北條秀司文庫が所蔵している軸物を吊してみたりしてみました。ちょっとした曝涼展です(^^)曝涼(ばくりょう)とは、平素は収納している図書とか軸物、衣類、諸道具などを日にさらして風を通すことです。いわゆる虫干しですね。もう10年以上前になりますか、10月に京都に行った際に、大徳寺で曝涼展をやっていまして、国宝や重要文化財の書画が風に靡くさまを見て、感激したことがあります。そんなまねごとです。
右から6代目尾上菊五郎の押し隈に尾上梅幸の賛、歌人吉井勇の書、詩人西條八十の書、新派俳優井上正夫の書画、そして円覚寺管長を務めた朝比奈宗源の円図です。もちろんこれはほんの一部です。
明日からは緒形拳さんの資料と北條秀司先生の資料の整理を実体験します!
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