若駒プロ訪問!

今日のつぶやき
若駒プロ訪問!

2020年に横浜開港資料館で緒形拳さんの展覧会を開催した後、また何かの展覧会ないしイベントを開けないかとずっと模索しております。とは言っても、この2年はほぼ新型コロナウイルス感染症で身動きがとれませんでした。最近、ようやく動けるようになってきましたね。5月の連休明けには備前長船博物館に安藤広康さんを訪ねました。19日(木)のことになりますが、齊藤太一さんのご紹介で、今回は朝霞市に若駒プロの「武劇館」を訪ねました。

若駒プロも武劇館も殺陣師と有名な林邦史郎さんが創設されました。本日は「邦史郎」の名跡を継がれた中川邦史朗さんにお目にかかることができて、いろんな話を伺うことができました。

林邦史郎さんは、第3回NHK大河ドラマ「太閤記」から殺陣をつけているそうです。第3回の太閤記と言えば、そう、緒形拳さんが主演の豊臣秀吉を演じられた大河ドラマで、林邦史郎さんとはそれ以来のお付き合いということになります。

中川邦史朗さんには本当にいろんなことを教えていただきました。何より、実際に使う木刀や模造刀、芝居に使う竹光などを使って教えていただいたのがよかったですね。私も自宅に木刀と逆刃刀の模造刀を持っています。逆刃刀は1Kgくらいあって、これを振り回すのもたいへんだなと思っていました。ところが、実際の撮影では、模造刀はアップで構えた時くらいしか使わなくて、殺陣はもっと軽い竹光でやるそうでした。模造刀は亜鉛でできていて、竹光は文字通り芯が竹で、表面にアルミを貼るそうです。そのために木刀も模造刀に相当するものは樫でできた堅くて重いものを使い、竹光にあたるものはもっと軽い素材で使うとのことでした。実際に持ってみるとその違いがよくわかります。

中川邦史朗さんは、この違いを実際に体感していただきたくて武劇館に招待していただいたとのことでした。まさに百聞は一見に如かずですね。私ら歴史学の世界でも、「史料は現物にあたれ、現場には行ってみよ」が基本ですから。また、真剣を構えてみたときには、その重さはもちろん、刃の輝きも模造刀などとはぜんぜん違っていて興奮しました。同時にその怖さも身に沁みて感じました。こんなものを腰に差して、しかも大小です。歩いていたことが驚きですし、実践の場では振り回すわけですから、その訓練にしても力量にしても驚くばかりです。戦国時代から江戸時代にかけての男性の平均身長は約153cmと呼ばれていますからなおさらです。

中川邦史朗さんのひと言ひと言が目から鱗が落ちる思いでしたね。さらに武劇館では、刀を使った殺陣だけではなく、槍や十手などあらゆる武器について指導されているだけなく、空手や柔道、合気道、さらにはスキューバダイビングなど武術とそれに関するものはすべて、それも体系的に教えていらっしゃるとのことでした。まさに総合武術ですね。

もちろん、殺陣師をめざしたり、アクションスターをめざす人が会員として入門されるのですが、鍛錬したいと思う人も随時、受け付けているとのことでした。チャンバラ大好き少年だった私のこと、もっと若くて、道場が近かったら、入門したかったです…。一応、これでも剣道は初段ですし。ただし、剣道と殺陣はぜんぜん違うものだということも改めて実感しました。

そうそう、殺陣師の世界についてですが、京都は東映などの映画会社が殺陣師を抱えているが、東京は殺陣師を中心に流派を構えているそうです。流派の違いは基本的には教え方の違いだと仰っていました。なかなか奥が深そうです。

帰る間際にはこんなものを見かけました。

ここで殺陣を練習された方々です。もちろん、緒形拳さんの名前も見えます。これだけでもその歴史を感じますね。また、勉強して、ぜひ中川邦史朗さんにお話しを伺いたいと思います。それに…。

時代劇の展覧会では、やはりこうした殺陣の世界を知って欲しいし、できれば体験するような場を設けたいなと切に思った次第です。

投稿者プロフィール

馬場 弘臣

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!

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