〔史料整理03〕史料管理学演習にて(1)


史料管理学演習が終わってから早、ひと月以上が経ってしまいました。報告するすると言いながら、ついつい延び延びとなってしまいました。言い訳になってしまいますが、2月に入ってからは、入試業務に史料管理学演習を挟んで、2つの印刷物の編集と先述した時代考証学会での報告、それに神奈川県立公文書館での古文書教室とずーっと仕事が詰まっていましたので…。まぁ〜一段落したので、ここのところblogを更新しているのですが…。なお、2つの印刷物というのは、1つは学園史資料センターで出している『東海大学資料叢書』の第3輯で、もう1つはプロジェクト研究の成果報告として、既報の通り栃木県安蘇郡閑馬村閑馬小学校の資料集を刊行する予定です。ただし、分量や費用の関係で、閑馬小学校の刊行物は、『近代教育史叢書』として資料目録と資料集の2つに分冊することになりました。まずは資料目録の方を刊行する予定で、しかもこれはカラー版です!また、詳しくは後ほど報告しますが、ひと言。『東海大学資料叢書』も『近代教育史叢書』もワープロソフト一太郎で入力から編集までやっていますから、たいへんなのです。解説の執筆はもちろんのこと、本文である資料の組み版までもです!PDFファイルで入稿して、印刷・製本をお願いするだけなのです!いずれの資料集も200ページを超えています。これもまた、詳しくは後ほど!

さて、土手和田村の文書ですが、これは前回述べたとおり、3つの箱や行李からなっています。その一番大きい箱には、ちょっと珍しいものが入っていました。

おわかりでしょうか?箱を開けると漆紙で作られた何やら物入れがあって、これを開けてみると、何と「裃(かみしも)」が入っていたのです。まぁ、オークションの時から画像で知ってはいましたが、改めて見るとやっぱりちょっと感動でしたね。

さて、今年の史料管理学演習は、これまた既報の通り、2月18日(月)から22日(金)までの5日間行ないました。受講者は5名ですので、2人1組で作業をする際には学園史資料センターから1人援軍を頼んでいます。TAですね。今年の授業も昨年一昨年と同様、1日目の3時限に史料管理学、つまりはアーカイブズに関する理念と必要な知識、技能について大まかな話をします。2日目から5日目までは実践です。具体的な方法論についてはその都度講義をしながら進めていきます。今年は(1)保存箱作りから始まって、(2)史料の袋封筒詰め、(3)目録取り、(4)写真撮影、(5)データ入力、と一通りの作業を試してみました。

 (1)保存箱作り

保存箱は、閑馬村文書の時と同じようにTRCC東京修復保存センターのスマート・ファイルボックスを使います。ただし、閑馬村文書の整理ではA3判のスマート・ファイルボックスを使いましたが、今回はA4を使っています。やはり大きいのはスペースの問題です。最大公約数で考えればA3判にしておけばだいたいは入るのでその意味では一番いいのですが、逆に小さな史料が多いとロスにもなります。そこで今回は思い切ってA4判に統一してみることにしました。具体的な作り方は指導しないで、とりあえず組み立ててもらうことにしました。はじめは結構、苦戦していましたが、何とかなるものですね。

(2)史料の封筒詰め

いよいよ史料に触ります。土手和田村文書は、小さい木箱と柳行李、それに大きい木箱の3つの容器に入っています。小さい木箱には一紙ものが、柳行李には横帳が入っていて、大きい木箱には先ほどの裃をはじめ、文書としてはさまざまな形態のものが入っています。ただし、こと江戸時代にものとなると、どうも小さな木箱のものが主なようです。柳行李の横帳はだいたい明治以降のようでしたし、大きな木箱もだいたい明治以降がほとんどのようです。ここでは小さな木箱をA柳行李をB大きな木箱をCとして、それぞれの箱ごとに史料を封筒に入れていきます。アーカイブズの理論では「原秩序の維持」という大原則があって、保存されていた形を復元できるようにして整理を進めていきます。この場合、具体的には箱を開けたら、上から順番に封筒に入れていき、A-1、A-2というように番号をつけていきます。この番号は原秩序を復元できるようにつけていかなければなりません。もし、この中に別に袋に入っていたり、こよりなどで括ってあるものがあれば、枝番号をつけていくことになります。場合によっては枝枝番号、枝枝枝番号…とだんだんと複雑になっていくこともあります。また、「備考」などで「○番から○番までは袋に入っていた」などの情報を明記しておくことも大切です。これが「整理番号」になります。整理が終わった後は、例えば年代順に並べるとか、分類するなどの処理をすることがありますので、これを「史料番号」とすると、史料には2つの番号がつけられることになります。なお、「原秩序維持」の立場からすれば、そうした「並び替え」を否定する意見もありますが、私自身は「並び替え」てもよいと思っています。ここに活用との相克があるのですが、詳しくはまたいずれまとめたいと思いますが、平たく言えば、原秩序を復元できるのであれば、「並び替え」てもよいのではないかというのが私自身の考えです。コンピュータの時代なのですから。もっとも、その際にもどのように「並び替え」るのかとうのが問題になりますが…。

下の写真は、実際に封筒への詰め替えをやっているところです。結構、みんな楽しそうにやっていましたよ。

 

土手和田村文書は量が多いことが多いことからC箱、つまり大きな木箱は整理しないで、A箱とB箱のみを封筒に詰めることにしました。もう一つ、C箱は箱の中に別の箱が入っていたりしてちょっと複雑ですので、後の授業にとっておきたいと思っています。

ちょっと長くなってしまいましたので、続きまた次回ということにしましょう。

 

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