古文書修復技術の凄さ!


ただいま大阪に向っております。経済学部大学院経済学研究科経済史・経営史研究室所蔵の鴻池文書の史料調査のためです。鴻池家は、言わずと知れた江戸時代を代表する大坂の豪商です。造酒業から始まって大名貸で富を築きます。三和銀行から現在の三菱東京UFJ銀行に繋がる系譜です。調査は明日ですので、また、報告したいと思います。

さて、ちょっと以前の話になりますが、昨年7月のBlogで北鎌倉東慶寺が所蔵する古文書(重要文化財指定)の修復調査について紹介しました。東慶寺の古文書を修復するために対象を確認するための調査でした。修復自体は3年計画で進められます。

これもちょっと前のことになりますが、今年度分の修復が完了したというので、この作業を担当した代々木上原の半田九清堂に行ってきました。何せ国宝の修復も扱っている会社で、東京国立博物館や江戸東京博物館内でも修復作業をなさっているとのことですから、その実力は折り紙付どころではないですね。東慶寺文書自体が重文ですから、鎌倉市は元より、神奈川県に文化庁の皆さんが集まっての視察です。修復の方法や用語など、私も本当に勉強になりました。ちょっとだけ写真を掲載します。

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左の写真は、足利義氏(右側:古河公方の方でしょうか)と、小田原北条家2代当主の北条氏綱の文書(左側)です。元の状態と比べてみると、文書のシワがとれていることはもちろんのこと、表装も再利用してあるのですが、やはりシワがなくなってピシっとしています。右の写真のうち、左は豊臣秀吉の所領安堵および国役免除の文書、右は同じく秀吉の禁制(きんぜい)です。

まぁ~これらの文書は、虫食いや破損などはなく、元々の状態はそんなにわるくはなかったですからね。驚くのは下の写真の文書です。

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江戸時代の古文書です。私も調査の現場にいたから確認しているのですが、これらはもうボロボロなだけでなく、そもそも破損部分がくっついて剥がれない。調査だけだったら、開けることすら諦めるようものでしたが、修復すると、あら凄い、ちゃんと読めるではないですか。その技術の高さ、仕事の丁寧さにはただただ感心するばかりです。さすがにプロですね。これはこれからの調査がさらに楽しみです。

馬場弘臣 のプロフィール写真
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