「大学教育は生き延びられるのか?」という問いの答えは「ノー」です。それは皆さん実感してると思います。大学教育は生き延びられるのか。生き延びられないです。今のまま状況では。
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>これは内田先生が、2016年5月19日にサンポートホール高松でかいさいされた国立大学教養教育実施組織会議の特別講演を起こしたものとのことである。そのためかなり長い文章となっているが、現在の大学、大学行政、そして文部科学省が抱えている問題を余すことなく披瀝していると思う。論点は多岐にわたるが、2点ほど指摘しておきたい。1点目は、現在の大学が抱える問題は1991年の大学設置基準の大綱化から始まったという点である。現在、私も大学史、学園史を担当しており、ちょうど、1970年代から91年頃までの間について書いていくところである。そこでとくに感じたのは、「改革」という言葉がこの設置基準の大綱化を境に大きく文科省、すなわち国側に握られていくようになったということであった。少子化が目の間に見えていたのに、なぜ、大学の数を増やすような政策、そして何をやっているのかわからないような学部や学科を増やすような政策をとったのかというのが大きな疑問であったが、大学を市場社会に投げ出すと指摘されれば合点がいく。数値を基準とした評価制度も過度な締め付けもそのいちいちについてである。
もう1点は、内田先生自体が、そうした改革の先頭に立っていたという実態である。それだけに一つ一つの言葉が重い。これは大学の話だが、実は現在の日本社会全体に起きている危機である。そしてその縮図が大学にあり、それが未来の活力を奪っていくという現実。大学人だけではなく、高校生にも社会人にもぜひ一読して欲しいと思う。
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