はじめてやることは難しい…歴史を研究するということ。
ゴールデンウィーク前の1週間です。今年から現代教養科目、いわゆる一般教養科目のカリキュラムが大幅に変わったことは何度かお伝えしたとおりです。私は「人文科学における歴史学」という授業を担当しているのですが、改めてこうしたタイトルで話をするとなると案外難しいですね。私自身は、具体的に史料を集めて、読んで、分析してという、実践派なので、改めて「歴史学とはなんぞや?」といっても結構説明が難しいことを痛感しています。今日は先週の「時代区分論」を受けて、「歴史を研究するということ」というタイトルで話をしました。要は、史料に基づいて研究するとはどういうことか、ということのお話しで、具体的な史料論については次回にやろうと思っています。
そこでふと思ったのは、人文科学と社会科学の違いは何か?ということについてでした。法学部の授業で話をしているときに、どちらも「資料」を集めて筋道を立てて論証することは変わらないのだけれど、例えば裁判となればどこかで落しどころを探さなければならない。そこには加害者であれ被害者であれ、有利な資料を優先するわけですが、それは現実的に「結果」=解決が必要だから。心理学や経済学などもまた、現実的な落しどころが必要とされます。でも、歴史学で必要なことはどこまでも「史実」やその意味を考え続けることで、言わば真理を探究し続けることが基本です。つまりはそこが違うんじゃないかな…と、ふと考えさせられました。
授業の最後は、「歴史を書くということ」ということで、これは卒業論文の授業ために作成したものですが、基本はどれも変わらないと思います。ただ、歴史学は「史料の分析・研究」が他と大きく違ってきます。そもそも近代以前の歴史では漢文が読めなければなりませんし、その漢文も時代によって異なります。近世などは本来ならくずし字で書かれた古文書が読めなければなんともなりません。よく文献研究といいますが、この文献は書籍ではないのですね。何より、過去は「実験」も「見聞」もできませんからね、みんなが納得できる形で史料を提示して、筋道を立てて論証しなければなりません。いわゆるロジカルシンキングとファクトベースですね。歴史学の世界では、論理整合性と立証妥当性と呼んでいます!って私だけでしょうか(^^;)
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