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人文科学における歴史学 新選組の史実を探るプリントをUpします。

人文科学における歴史学の4回目は「歴史学と史料」についてでした。ひとしきり「実証主義歴史学」の成り立ちと特徴、現在の課題について話をした後、国立公文書館内閣文庫に所蔵されている新選組関係史料の中から2点を選んで、古文書から史実を探っていく過程について説明しました。

1つ目は、池田屋事件の後、幕府から新選組に新身料(新しい刀を購入する代金)と別段金が下されたことに対する松平容保の礼状で、幕府老中に宛てたものです。新選組への褒美が会津藩から与えられたという記述を見ることがありますが、明確に誤りです。なぜそうなったかというと、刊本になっている『会津藩庁記録』が、会津藩士も含めて史料をカットして載せているために間違ったものと思われます。

2つ目は、新選組の鉄砲稽古に関して、合薬(火薬のこと)と鉛雷管を工面して欲しいという、会津藩士の書簡です。新選組は1・3・6・8のつく日に大小銃の稽古をしているが、足りないので至急回して欲しい。ただ江戸への往復には日数がかかるので、取り急ぎ3分の1を藩から渡したのだが、新選組も50名余隊士が増えたのでこのままでは稽古にならないと訴えています。そもそも私は新選組が最後まで剣に生きたとは思っていません。幕府をはじめ諸藩の軍備が西洋式軍制の、いわゆる歩兵・騎兵・砲兵の三兵制に切り替えられていくのに、いつまでも旧来の弓・槍・刀に頼っているわけにはいきません。新選組も積極的に歩兵強化の道を歩んだと思っています。

そもそも天然理心流は、剣術はもちろん、槍術や柔術も修得する総合武術です。「柔術目録」(技能を修得した証しとして発行される免許状)には今の柔道の技も多数出てきます。そもそも剣だけに頼る流派ではないのです。その辺は柔軟だったのではないでしょうか。

ということで、「原文書」(史料自体は写ですが、一次史料です)、「釈文」(読点と返り点をつけて筆写したものです)、「書き下し文」(変体漢文を和文化したものです)、「現代語訳」そして「解説」をつけております。これらは既にこのサイトの「let’s 古文書」に載せたものですが、ここで改めてプリントにしております。また、関係する歴史用語-「新選組」「文久三年八月十八日の政変」「池田屋事件」「禁門の変」についても解説をつけております。

さて、この解説には、「公武合体派」と「尊王攘夷派」という構図では書いておりません。前者は政策なのに対して、後者は思想で、何度考えてもこれが対立の構図とは思えないからです。また、尊攘派が公武合体そのものに反対していたかというとそうではないだろう。やり方の問題に反対していたのだろうと思えば、やはりそのままの言葉を使うのは躊躇します。

ということで、月曜日の1・2時限目と金曜日の2・3時限目の授業を休んだ学生はダウンロードしてください。また、興味のある方もダウンロードしてご高覧いただければと思います(^^)

新選組関係史料プリント=shinsengumi

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投稿者プロフィール

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!
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