戦後大衆文化の基礎的研究―緒形拳氏関係資料の整理をめぐって―
この研究は、文明研究所のプロジェクト研究として採択されたものです。本学には、劇作家北條秀司先生の資料が寄託されています。旧サイトには「近代文化研究」としてこれまでの北條資料に関する調査・整理からイベントについてまとめています。詳しくはこちらのURLをクリックしていただければと思います(http://www.ihmlab.net/kindai_top.html)。また、大石学・時代考証学会の『時代考証学 ことはじめ』(東京堂出版、2010年)にはこの整理の一環を書いています。以前にも書きましたが、新国劇の辰巳柳太郎に憧れ、北條秀司作「王将」に憧れていたのが緒形拳さんで、北條先生の口利きで新国劇への入団が叶います。昭和33(1958)年のことです。緒形さんは、昭和40年(1965)のNHK大河ドラマ「太閤記」に主演したことで、一気にトップスターに駆け上がっていきます。これはテレビの時代の幕開けでもあり、新国劇もまた、テレビのスターを輩出しようとして時期でもありました。平成20年(2008)に死去されるまで、緒形さんほど舞台、テレビ、映画とまんべんなく活躍された俳優はいらっしゃらないかと思います。まさに舞台・映画・テレビという戦後の大衆娯楽の先端を走り続けられた方でした。
今回、緒形さんが残された資料を整理するという幸運に恵まれましたので、緒形さんの俳優人生とその意義を再構築しつつ、戦後大衆文化を考えるという視点で考えてみたいと思っております。プロジェクト初年度は、写真、台本、パンフレット(新国劇が大部分を占めます)、雑誌(緒形さんが掲載されたものです)、緒形さんに関するスクラップなどを整理し、目録を作ることです。あわせて、緒形さんが出演された舞台、映画、テレビドラマ、CM、ドキュメンタリーなどについてのリストも現在作成中です。
近年の資料整理(アーカイブズ学)では、 ①出所の原則、②原秩序尊重-原配列尊重の原則、③原形保存の原則、④平等取り扱いの原則の4つを原則としております。そこで、今回の整理でもこれを尊重して、保存されていた場所を明確にできるように資料番号をつけていきました。ただし、台本とかパンフレットは比較的まとまっていましたので、そのまままとめ、はじめから編年などに並び替えずに基本的な配列のまま番号をつけていきました。
資料を収納する袋には、TRCC東京修復保存センター(http://www.trcc.jp/)が販売している”A4ダブルフラップフォルダー”を購入して、これに入れ、あとは市販の4つ穴フォルダーに綴じ込む形式を取りました。ダブルフラップフォルダーは、私も北條資料の整理の関係で開発に携わりました。フラップが上部と右についていて取り出しやすくするとともに、飛び出ることを防ぎます。何より中が見えるのがやっぱりいいです。中性紙でも紙製の封筒だと中が見えないのが難点ですよね。ただ、フラップフォルダーにもマチがあるタイプがあればなおよろしいのですが…。台本など、厚い冊子はやはりちょっと困ります。
これらにつていは、TRCCの”スマートファイリング・ラボで購入できます(http://shop.trcc.jp/i-shop/top.asp)
今回の史料管理学演習では、この作業と目録の入力作業が中心だったわけです。
ダブルフラップフォルダーはたくさん購入したのですが、フォルダーが間に合いませんでした(^^;)いずれにしても頑張ってくれた学生たちに感謝です!
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