古文書の調査は愉し!

今日のつぶやき
古文書の調査は愉し!

火曜日のことになりますけれど、佛教大学の大学院生で幕末の政治を研究されている宮崎航平さんが、本学付属中央図書館が所蔵している北尾コレクションの調査のために来校されました。北尾コレクションは、「本学創立三十五周年記念事業の一環として、札幌市在住の北尾氏より購入した書簡集」とのことですが、私も松前記念館や付属図書館11号館展示室で展示されている際に目をした程度で詳しいことはわかりませんが、何しろ、中世、とくに戦国期から江戸期、明治・大正・昭和に至る著名人たちの書簡を集めた一大コレクションです。

宮崎さんは、とくに幕末に幕府の能吏として活躍した岩瀬忠震(いわせただなり 1818~61)を中心に研究されています。その岩瀬の書簡がこの北尾コレクションに入っていたのですね。その他にも福井藩士として藩主松平慶永(春嶽)の側近として活躍しながら、安政の大獄で刑死した橋本左内(1834~59)、幕臣の旗本で岩瀬の従兄弟にあたり、箱館奉行や外国奉行、神奈川奉行等を歴任した堀利煕(1818~60)の書簡を調査に来られました。ここだけの話ですが(と言いつつ公開していますが)、北尾コレクションは貴重資料なので、学内では写真撮影までできますが、外部の方は閲覧しか出来ません。

宮崎さんはTwitter仲間で、頻繁にやり取りはやっていたのですが、お目にかかるのは実はこれが初めてでした。書簡等は、一瞥して読める方なんてそうそうはいません。私も見ましたけれど、直ぐに解読できるレベルではなかったですね(^^;)今回は、共同研究者として一緒に作業いたしました。実際、私も地域史が主ではありますが、幕末維新史についても研究をしておりますし、講演等もやっておりますので、それは間違いではありません。何より、こうした史料はやはり専門家にみてもらった方が絶対いいに決まっています。宮崎さんは青山先生や町田先生といった幕末史に関する第一級の専門家のお弟子さんですから、なおさらです。でないと宝の持ち腐れになってしまいますからね。

古文書を一眼レフカメラで撮影する

最近は、スマホやタブレットでもきれいに撮影することができますが、今回は、一眼レフカメラを使った撮影に挑戦してもらいました。まぁ~何事も経験ですからね。

ついでながら、学園史資料センターにも案内して、大久保一蔵宛て西郷吉之助書簡3点と薩摩藩の家老喜入摂津(きいれせっつ)の書簡も撮影してもらいました。どれも結構、貴重な書簡のようです。と言いつつ、まだしっかり読んでいません。

大久保一蔵宛て西郷吉之助書簡

書簡の点数は少ないですから、撮影は午前中の早い時間に終わりました。後は、宮崎さんと研究室でずっと話をしていました。お世辞ではなく、やる気があって、すごく勉強していて熱心で、感心しました。私は政治史はあまりやっておりませんので、宮崎さんの研究の話がおもしろく、岩瀬と左内の関係等々いずれも目から鱗が落ちる話ばかりでした。京都から数点の書簡を求めてわざわざやって来るのですから、それだけでもあっぱれですね。何だか若い頃を思い出しました。老いて私もまだまだ頑張らねばなりません。若い力をもらった1日でした。これだから古文書の調査は愉しい!!

あ!次回は、let’s古文書お題No.14の解答を掲載したいと思います。お楽しみに(^^)/

投稿者プロフィール

馬場 弘臣

馬場 弘臣東海大学教育開発研究センター教授
専門は日本近世史および大学史・教育史。
くわしくは、サイトの「馬場研究室へようこそ」まで!

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